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2006年9月 4日 (月)

ちげーよ!

 会社からの帰り道、すれ違った若者がケータイの相手に向かって「ちげーよ!」と叫んでいるのが聞こえた。「違うよ」の乱暴な言い方だが、ここ数年でしばしば耳にするようになったし、僕自身もある特定の文脈・シチュエーションではふざけて使ったりする。

 昔なら、絶対に使わなかった。

 思い起こせば25年前、中学1年のときだ。当時仲良くしていた友達Kはなにかというと「ちげーよ!」と言うのが口癖で、僕は彼がそれを言うたびに、むきになってその誤りを指摘した。

「“高い”を“たけー”、“甘い”を“あめー”というのは正しい。でも“違う”を“ちげー”と言うのは間違ってるよ。江戸っ子の口調で“ちげーねぇ”っていうのがあるけど、あれは元の形が“違いない”だから“ちげー”でもいいんだ。“違い”は、“違う”とは違う。“違う”は “ちげー”にはならない」

 Kは僕がそれを言うたびにうるさそうな顔をして、たいていは何もコメントせずにやりすごした。僕もいちいち言わなければよかったのだが、我慢できなかったのだ、彼の口から「ちげーよ!」という音が放たれるのが! もう、ムズムズして!

 当時はうまく説明できなかったのだが、13歳の僕は、要するに、「音便変化の法則性」みたいなものを経験的に会得しており、“違う”が“ちげー”になるのはその法則から逸脱している、ということを指摘したかったのだと思う。日本語では、”ai”は訛ることによって長音の”e”に転じ得るが、”au”が”e”に転じることはないはずだ、と。他に同系列の変化を示す例が見当たらない以上、それはerrorなのだと。

 今さらながら、中坊の頃から自分は今と同じことにこだわりつづけていたのだな、と思ってめまいがしそうになる。もっともこれは、はてな時代の僕のブログを辛抱強く読んでくれていた人でないとピンと来ないかもしれないが。

 なお、上記のようにあきらかに法則から逸脱しているにもかかわらず、“違う”がしばしば“ちげー”と発音される背景には、以下と似た問題が潜んでいるものと思われる。もしこういう話題に興味がおありの方がいらっしゃればご一読を。

「平山瑞穂の黒いシミ通信」 違くない

 ちなみに、くだんの友人Kとは、高校進学とほぼ同時に交流が途絶え、その後、バブル絶頂の頃、「栃木で地上げ屋をやっている」と風の噂に聞いたのが最後だ。今は杳として行方が知れない。

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コメント

>ちげーよ!

初めて聞きました。
世代の違いを感じますね。

私の故郷の静岡県では『ちがーよ!』になります。

投稿: ちあき | 2006年9月 5日 (火) 19時35分

それはいかにも「地域的偏差」つまり「訛り」という感じがしますね。「ちげーよ!」も東京方言ならいいのですが、たぶん違うでしょう。

投稿: 平山瑞穂 | 2006年9月 6日 (水) 01時00分

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