クリスマス?
小学館から送っていただいている文芸誌『きらら』最新号の背表紙を見たら、映画の広告が載っている。『7月24日通り』、おお、吉田修一さんのあれ、映画化されるとは知っていたがそれか! と思いつつ、いや、ちょっと待て、その後にもなんか続いてるぞ、『……のクリスマス』? 違う。これは違う。絶対違う。この時点で違う!
いやいや、そう言わずにもうちょっと詳しく見てみよう。「妄想のリスボン(実は長崎)を舞台に、ダメな私の恋が始まる!」……ってなんかぜんぜん違う話になってるんですけど! なんというか、そうなんだけど、そうなんだけどこれは違うのだ。吉田さんの描く、あの、やるせない中にも心揺さぶられる「あの感じ」とはまったく異質ななにかなのだ。
だいたい、右下にいる、「ガンバ〜レ サユ〜リ!」とか言ってるこのカッパハゲの外人誰よ! あ、ザビエルか。グザビエね。長崎だからね、なるほどね。ってだから違うんだってば。こうじゃないんだ、吉田さんの『7月24日通り』は!
いや、でも、プラスの面も見てみよう(落ち着け自分)。主演は大沢たかおと中谷美紀。あー、いいんじゃないですかね、どっちも芸達者だし、中谷美紀もともと好きだし、彼女、なんというかこう、野暮ったい女とか演じるのすごくウマいし。うん、なんか、原作と切り離して単純に映画として観たら楽しいかも。きっとそうにちがいない。上野樹里も出てるし。上野樹里好きだし。11月3日からロードショーね、はい、観に行きます。
あらためて思うのは、吉田修一さんって、ほんとはいつもすごく微妙なところ、言語化するのが困難な、痛さとも甘さともせつなさともつかないとても隠微ななにかを描きえているのに、同時にこうした形でベタな方向に容易にスライドさせ(られ)てしまうこともまた可能なところを突いている、という意味ですごく「ウマい」んだな、ということだ。
ああ、今日はこのトピックがあってよかった。でなかったらまんまと総裁になってしまったあの人のことをボロクソに言ってしまうところだった。あの、誰が支持してるんだかさっぱりわからない、少なくとも僕は支持していないし身のまわりにも支持してる人が1人も見当たらないあの人のことを。って、ほとんど言ってるけど。っていうか「美しい国」ってなんだよ。何をもって「美しい」とか言ってんだよ。意味わかんないんだけど。
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