それどころでは
高校時代の恩師から、「村上春樹に続け!」という1文だけのメールが届いていた。最近、『シュガーな俺』が出たことについて短いメールのやりとりがあったばかりなので、今ひとつ先生の真意がつかめないままに、とりあえず「遠い道のりですが頑張ります!」という趣旨の返信をしておいた。
村上春樹がカフカ賞を受賞したことを知ったのは、ついさっきだ。妻が今日の朝刊を持ってきて、「これ、知ってた?」と言う。知らなかった。実は、「カフカ賞」という賞があることさえ知らなかった。「日本のカフカになりたい」奴失格だ(ってだから、僕はそれを自発的に言ったわけではないのだが、なんだかごく一部でその台詞が一人歩きしているらしく見受けられるので)。
結果として、先生に対する僕の返信は、その事実を踏まえているという想定のもとに読んでも不自然ではない文面になっていたと思う。しかし、先生のせっかくの激励の意図を適切に解していなかったことは、申し訳ないと思う。すみませんでした、先生。世事に疎いもので。
しかし正直、今日の僕は、カフカ賞どころではなかったのだ。今もそれどころではない。
妻が無為を東大病院に連れていき、もろもろの検査の結果が出た。ひどく低下していた腎臓機能は、ここ数日の点滴の効果でだいぶ回復しており、おかげで麻酔もかけることができたので、内視鏡を使った検査も難なくしおおせたのだが、その検査を経た上での先生の所見というのが……ダメだ、つらすぎて書けない。
だから今日の僕は、正直なところ、村上春樹やフランツ・カフカや海辺のカフカや恋するソクラテスどころではないのだ。
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