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2006年10月24日 (火)

すごい映画

 ああもう10時を回っているではないか。時間はなぜこうも足りないのか。

「黒いシミ通信」時代に、池袋の某A書店は僕の本を冷遇している、とコメント欄かなにかに書いた覚えがある。「ワスチカ」が出たばかりの頃だ。仮にも新潮社が出している新刊書であるにもかかわらず、新刊コーナーには置いてくれず、少し奥まったところにある「日本文学」コーナーの目立たない片隅にかろうじて平置き、という状態で、配本直後にこりゃあんまりじゃないかと思ったのだ。しかし今回は、「新刊コーナーにあった」と友人から報告を受け、確認しに行ったところ、たしかに新刊コーナーの棚に2面出しで並べてくれている。

 もしかして、僕が文句を言っていたのが人づてに伝わったのだろうか(出版社の人などにも愚痴をこぼしていたし)。もしそうだとしたら、A書店の方、ご高配賜りまことに恐縮です。というか、新人に毛が生えた風情の者がエラそうに物言いしてすみませんでした。

 さて、昨日は書き切れなかったが、昨日、ジュンク堂で『シュガーな俺』にサインした後、シネマロサに行って、レイトショーを観た。「このすばらしきせかい」(沖田修一監督)という映画だ。

「このすばらしきせかい」オフィシャルHP

 いちばん最初のカットを見た瞬間、「あ、オチのない映画だな」と予感したとおり、オチらしいオチはない。しかし僕は、そういう話が実はかなり好きなのだ。と言うより、ヤマもオチもイミもない(それじゃ「やおい」だ)にもかかわらず、決して退屈しない、という絶妙な作り込みがなされたこうした作品は、映画か小説か漫画かといった形態の別を問わず、本当にすごいと思う。真の才能がなければできる芸当ではないだろうと。

 それはちょうど、かつて「イカ天」でたまとグランドイカ天キングの座を争うことになったマルコシアスバンプが、たまを評して「だってすごいんだもん」と途方に暮れたように言ったのと同じような意味で「すごい」のだ(細かすぎて伝わらない例の取り上げ方)。

 特に、自己破産して自殺未遂してしまったダメな叔父さんを演じている古舘寛治のナチュラルすぎる演技と間の取り方が絶品だ。

 興味があれば、そして、池袋でレイトショーという条件でもOKなら、いろんな人に観てもらって、反応を知らせていただきたい映画である。ただ、公開は今週の金曜までなので、ああ、もう明日から3日しかない。歳月はなぜこうも日々に疎いのか。

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コメント

なんか、いろいろありがとうございます。
サインとか、映画のコメントとか。
平山さんだったら、わかってくれるって思ってたんです。
感謝感謝。
今度、ゆっくり、無為ちゃんの話でも…

投稿: ちーちゃん | 2006年10月26日 (木) 01時21分

あっ、いえいえ、サインは自分のためでもありますし、映画も普通に楽しみましたので! 僕がたとえば小説で同じことをやろうとしてもきっと微妙に失敗して、ただの「つまらない話」になってしまうだろうと予測されるだけに、ほんとにすごいなと尊敬するのです、ああいうのを巧くやれる人って。
無為……「今度ゆっくり」話すときまで無事でいられればいいのですが。あ、今日のところはまだ、普通に歩きまわってますけどね。

投稿: 平山瑞穂 | 2006年10月26日 (木) 02時19分

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