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2006年12月 3日 (日)

国際的にヘタな字

 金曜の夜から、おなかがギリギリ痛んで発熱するという症状に見舞われ、昨日はほぼ1日寝ていた。今日になって熱は引いたようだが、ずっと起きているとだるくなってくるので、やはり半日は寝ていた。目が覚めている間はずっと『ロリータ』の続きを読んでいた。長い。というか、饒舌だ。僕がこの小説の書き手なら、冗長と思われる部分をザクザク刈り込んで、少なくとも(いや、「多くとも」? どっちだ?)この半分の量にまで減らしてしまうと思うのだが、それだと「名作」として生き残ることはないのだろうか。

 古典や準古典を読んでいると、しばしばそういう思いにとらわれる。たとえば、トルストイの『戦争と平和』の末尾に挿入されているやたらと長い「戦争論」は本当に必要だったのか、とか。しかしそんなことを言ったら、メルヴィルの『白鯨』などはほとんどがその手の「冗長な部分」から構成されているわけで。あれを取り除いてしまったらミもフタもない作品になってしまうわけで。

 さて、昨日、韓国版『忘れないと誓ったぼくがいた』の見本が5冊届いた。本そのものが、語り手「タカシ」が書いた「1冊のノート」という体裁を取っており、巻頭と巻末にノート風の罫が入ったページが数枚ずつ入っている。巻頭には、僕が手書きで書いて送った「忘れないと誓ったぼくがいた」の書名と、ヘタクソなサインがスキャンして取り込んである。ちょっと見には、1冊ずつサインしていったみたいに見える。しかし、ヘタクソなので恥ずかしい。どうしてこんなにヘタクソなのだろうか。

 ちなみに、字がうまいか下手かということは、書く文字が何語であるかにあまり左右されないらしい。僕はいっときずいぶん熱心に韓国語を勉強していて、読み書きだけはかなりできるレベルに達していたことがあるが、その頃でも、僕が書くハングルは、「子供が書く字みたいで丸っこくて可愛い」と韓国の人に評されていた。そしてそれはまさに、僕が書く日本字について一般的に下されている評価とほぼ同じなのだ(あとは、「狂気を感じる」とか、「異様」とか……)。

 逆に、翻訳者キム・ドンヒさんは、非常に均整の取れた、女性的でしなやかな書体のハングルを書く人だが、彼女が書く日本字は、そのハングルから予想できるとおりの、非常に均整の取れた、女性的でしなやかな書体なのだ。だからきっと、韓国版ワスチカの巻頭に刷り込まれた僕の手書き文字が「ヘタ」であることくらい、日本語をまったく知らない韓国読者にも容易にバレてしまうにちがいない、と思って、僕は内心忸怩たる思いなのである。

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コメント

あら。いま流行の胃腸風邪でしょうか?お大事になさってくださいね。

韓国版『忘れないと誓ったぼくがいた』、とてもよさそうな装丁に思えます。そして、今度も自筆の書名&サインつきなんて、サービスたっぷり♪

投稿: ダレカ | 2006年12月 4日 (月) 00時11分

あ、なんか、胃腸風邪っていうんですか、流行ってるみたいですね。僕もそれかなと思ったんですが、病院に行く前にほぼ自然治癒してしまったみたいなので、何だったのかはわからずじまいです。

韓国版は常にサービス満点ですが、向こうの方が全人口比率で間違いなくファンが多いみたいなので、「サービス」も空振りせずに済んでいるのでしょう(笑)。

投稿: 平山瑞穂 | 2006年12月 4日 (月) 01時30分

私の場合は半月ほど下痢が治まらなくてまいりましたが、昨日、今日と異常なし。朝は普通で2回目以降、午前中は止まらず、昼を取ってからは正常に戻るというような状態でした。これも胃腸風邪だったんでしょうか?
「シュガーな俺」手に入れるべく本屋に向かいます。

投稿: 林 秀樹 | 2006年12月 4日 (月) 11時51分

今流行っている胃腸風邪は感染性胃腸炎らしいです。ノロウィルスが原因だとか。僕が先月末から酷い下痢で、脱水をおこして救急で診てもらったときに看護師から「今日は下痢の患者さんがすごく多くてね」と言われました。酷い下痢をおこすと怖いのが脱水です。僕は3日間病院に通って点滴を打ってもらいました。そして今日、病院に行ったら感染性胃腸炎に注意という張り紙を見ました。
皆さんも病気にはくれぐれもお気をつけ下さいね。

投稿: ゾーン | 2006年12月 5日 (火) 00時00分

> 林秀樹さん
もう、その状態からは脱けられたんですよね? 半月下痢が続いたらさぞ消耗されたことでしょう。お気の毒です。
書籍版、買ってくださるのですね。ありがとうございます。ストーリーはもう全部ご存知かとは思いますので心苦しいのですが、前半部分だけ、連載後に若干書き直しておりますので、厳密に言うとちょっとだけバージョンが違うのです。せめてそれをお楽しみに再読いただければ幸いです。

> ゾーンさん
僕は下痢まで行かなかったというか、それ以前にあった便秘状態が今回の発熱に伴う下痢で解消(相殺)されてその後正常化したというか(ってすみません、ビロウな話で……笑)、という感じでしたので、その感染性のものとは違っていたのかもしれませんね。
いずれにせよ、おたがい体には気をつけましょう。

投稿: 平山瑞穂 | 2006年12月 5日 (火) 01時06分

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