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2007年1月 8日 (月)

仮名のはずが

 年末に送ってあった、小学館「IKKI」連載を想定した作品のプロットについて、担当Tさんより返事が届く。大筋OKだが若干弱いところがあったので、その部分については再考しなければならない。しかし、こうして物語がブラッシュアップされて形になっていくのは、いつもながら楽しい。

 ところで、当然のことながら、小説には普通、複数の登場人物が出てくる。ただ彼らは、プロット段階においては、Aという役割をする人物、Bという役割をする人物、Cという役割をする人物……といったように、「役割」というか、物語の内部における構造的な位置づけというか、そういう概念としてしか存在していない。あるいは、そういう概念として存在してさえいれば、用は足りるはずである。

 しかし実際にプロットを書く段になって、「Aが○○する」「BがCに○○と言う」といった形で、つまり、ある「役割」を表す略号のまま書いていると、書いている本人にもわけがわからなくなってくるし、なんというか、今ひとつ乗れない。そこで、仮にでもいいから、なにかそれらしい名前を当てはめてみる。たとえば、Aが30歳の男性なら「晃夫」、Bが20歳の女性なら「みずき」、というように。

 その時点ではあくまで「仮」なので、たいして練りもせず、とにかく識別ができればいいや程度のつもりで名づけているにすぎない。しかし僕の場合、往々にして、そのときつけた「仮名」が、実際に作品として発表される際にもそのまま使われる「本名」になってしまう。結局、ほとんどの場合は、名前などどうでもいいのだと思っているからかもしれないし、プロット段階で呼んでいたその名に愛着がわいてきて、本編を書く段階ではもはや「役割A」のことは「晃夫」、「役割B」のことは「みずき」としか思えなくなっているからなのかもしれない。

 どうせそうなるとわかっているのなら、「仮名」段階でもうちょっと凝った名前を考えればいいのかもしれないが、そうするとまず名前がなかなか決まらず、名前が決まらないとプロットを書き出すこともできなくてイライラしてくるのだ。

 今回送ったプロットに出てくる登場人物の名前も、ほとんどが「仮名」のつもりでつけたものだ。でも、プロットを煮詰めている今の段階ですでに、そのほとんどが「本名」として採用されることになるのではないかという予感でいっぱいである。

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コメント

若干ズレ気味なレスですが、高齢者の皆さんのITアレルギーに関して興味深い話を聞いたことがあります。高齢者の皆さんがウェブで何らかのサービスを利用する際に「よくつまづく行動」ってのがあるらしいと。で、その2大ポイントが「自分が所有するメールアドレスを知らないこと」と「アカウント名に何を付けて良いか悩むこと」なんだそうです。後者は個人的にも思い当たるところがあるんですよ。たかがネット上の“仮名”なワケだから、そこまで真剣に悩む必要はないんですよね。本当は。後にその“仮名”が醸し出すであろう“実体感”が、安易な名付けを拒否しているのかも知れません。その点で、若い人の気軽さが羨ましかったりもします。

投稿: もり | 2007年1月 9日 (火) 13時41分

知人がお腹の子に話しかけるのにニックネームを使ってたそうなんです。で生まれた後、色々な名前を考えるものの、その妊娠中テキトーにつけた仮の呼び名以上にしっくりくるものがなく、結局その名前をつけた、という話を思い出しました。

あと、ネットに簡易版の姓名判断があるんですが、小説の登場人物でやってみたことがありまして(暇人!)、それがどれも意外にいい線いってるんです。「言霊」でもないですけど、知らず知らず名と体が寄り添ってくることって…と考えると面白いです。

投稿: dahlia | 2007年1月 9日 (火) 18時25分

> もりさん
いや、あまりズレてませんよ、すごくわかります、それ。ブログを立ち上げるにもアカウントが必要じゃないですか。どうしよう……とそこでつまずいてしまって、一向に思いつかず、はてな時代もココログになってからも結局hirayama_mizuhoにしてしまいましたし(笑)。皆さん、ハンドルネームとかよく思いつくなぁといつも感心してます。あ,今急に思いついたんですが、「みずほ」の「みず」=「水」から転じて「ウォーター」なんだけどそれじゃ芸がないから「わらぁ」(ヘレン・ケラー風に)、とか、そんな感じですかね。

> dahliaさん
その知人の方がおなかのお子さんにつけていたニックネームって、まさか「ミッキー」とか「ぽこぽん」とかそういうのじゃないでしょうね(笑)。
でもそのケースは、僕が登場人物につける仮名のケースときわめて似ていますね。ふと、漫画『寄生獣』で、主人公シンイチの右手部分に寄生したパラサイトが「右手を食って育ったからミギー」と安直に名乗りはじめるエピソードを思い出しました。「名前などどうでもよい」とうそぶくミギーは、それでも最後まで「ミギー」と呼ばれつづけるのです。

姓名判断は……今度、自作のキャラクターでやってみます。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年1月 9日 (火) 22時11分

「ミッキー」とか「ぽこぽん」!(笑)
いえいえ、実際は「太郎の子供→コタロー」方式でつけられた、近頃あまり耳にしないけれど人名たり得るネーミング、でありました。

ミッキー。エリア88を知る私個人としては十分アリです(ほんといい男なんです)が、如何せん苗字との兼ね合いを考えるとやはりペット止まりでしょうか。

投稿: dahlia | 2007年1月10日 (水) 13時06分

エリア88……すみません、存在しか知らなかったのですが、ちょっとググってみまして、この「ミッキー・サイモン」って人がそうですね。しかしおっしゃるとおり、日本姓とのコンビネーションだと「ミッキー吉野」になってしまいますよね。って、別にいいんですけども(笑)。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年1月11日 (木) 15時49分

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