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2007年3月 7日 (水)

笑顔は苦手

『冥王星パーティ』についての「オズマガジン」からの取材で、新潮社社屋へ。写真撮影のとき、カメラマンの方に「ちょっと笑ってください」と言われる。撮影のときにはほぼ必ず言われることだ。つまり、基本的に僕は笑っていないのである。笑顔を作るのが苦手だということもあるが、笑っている自分の顔が好きではないということの方が理由としては大きい。

 しかし撮影のときには、笑顔にさせようとして、カメラマンの人や取材を担当したライターさんなり編集者さんなりが雑談を持ちかけてくるというパターンも多く、心ならずも笑ってしまって、結果としてその写真が掲載されてしまうこともある。それは十中八九、僕自身にとっては不本意な写真だ。今日はそういう形で笑いを強要されることがなかったので、たぶん大丈夫だろう。

 笑顔の方が無条件に望ましいわけではないと思うのだが。いや、僕はなにも、仏頂面でいるところを撮ってほしいと言っているわけではない。「微笑」くらいで十分なのではないかと言いたいだけなのだ。しかし僕が自分では「微笑を浮かべている」と思っているときでも、人が見るとほぼ仏頂面に見えるらしい。妻からもよく、「これでも微笑してるつもり?」と笑われる。「いや、よく見てよ、口角が微妙に上を向いてるでしょ?」と僕は抗弁する。僕としてはそれが精一杯なのだ。わかってほしい。それ以上、僕を笑顔にさせないでほしい。撮影のときは。

 なお、僕が自分の笑顔についていやだと思う最大の点はなにかというと、頬に生じる「アンパンマン線」である。「アンパンマン線」のある笑顔というと織田裕二などもそうだが、彼は顔全体のフォルムが円形に近いので違和感がない。僕の場合、なまじ細面なので変にそこだけ突出した感じになっていやなのだ。しかしこの「アンパンマン線」は、平山家の血筋に何代にもわたって継承されているものなので、逃れられないのだ。

 取材が終わってから、新潮社近くのステーキハウスで、立ち合ってくれた担当編集Gさんと食事。Gさんは9月に出産予定で、ちょっと前までつわりがひどかったという。それがおさまってきた今は、むしろ食べないと調子が悪くなったりイライラしたり「ダメ人間」になったり、だれかに八つ当たりしたくなったりする。「低血糖に近いかも。平山さんのつらさが少しわかった」と言う。おなかの子に栄養を吸い取られているのだろう。

 そう言えば今日、新潮社のロビーで顔を合わせた瞬間、Gさんは僕が持っていたカバンの汚れを目ざとく発見して、「どうしたんですか、それ?」と訊いてきた。その汚れがいつついたものか、覚えがない。僕自身、今日、職場を離れる直前に気づいたのだ。

「ああ、これ、いつのまにかついてたんですけど」
「また酔っぱらってどこかの路上で寝ちゃったんじゃないですか?」
「いや、最近は路上で寝てないんですよ」
「そうですか。いかにも路上で寝ちゃったときについたっぽい汚れ方だったので」

 ナチュラルにこういう会話が交わされるあたり、どうなのかと自分でも思う。 

 ちなみに、インタビュー記事が掲載される「オズマガジン」は、4月23日発売号になる予定。こういうことをブログに書いておかないと自分でもすぐに忘れてしまう。

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コメント

口角だけでなく、目は笑っているのでしょうか?

あと、ここに書いて伝わるかどうかわかりませんが、Gさんおめでとうございます!!

投稿: ダレカ | 2007年3月 8日 (木) 00時21分

おお、なんと鋭いご指摘。でも目を笑わせるって、心から笑ってないとできなさそうですね。そう考えるとプロのモデルさんとか俳優さんとかってスゴいですね。

ちなみにGさんは基本的にこのブログは毎日チェックしてくれていると思います。ただ、コメント欄まで見てるかな……。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月 8日 (木) 00時50分

私がその昔スーパーに勤めていた頃、いわゆる「接客スマイル」に関する文書(?)がまわってきたことがあります。
仏頂面はいわずもがな、あまりに満面の笑みも品がなく、ゆえに悪印象を与えかねないので、適度なスマイルを練習するようにというものでした。
具体的には、「適度」の目安は「箸を横にくわえた時の頬の筋肉の位置」ということで、箸を横にくわえた女性のイラストつきで説明されていたのですが、もし気が向いたら試してみてくださいね。

投稿: dahlia | 2007年3月 8日 (木) 01時49分

ああ、何となく分かる気がいたします。
僕もあまり自分の笑顔が好きでないもので。なんというか、無防備な感じがして身構えてしまうんですよね。
気心が知れた人なら全然平気なのですが。
接客しながら全然スマイル出来てないんだろうなぁ。

投稿: kenkaian | 2007年3月 8日 (木) 06時17分

おっと、意外にみなさんこの話題食いつきがよかったですね(笑)。

> dahliaさん
そのスーパーの文書を作成した人は、わかってますね。どこぞの「¥0」のスマイルなど、時にあまりに過剰で、客が引いてしまうことがありますからね(見ず知らずのあなたにそんな満面の笑顔を向けられるいわれはないです、みたいな)。
「箸をくわえた時の……」、なるほど、それっくらいなら僕にも実践できそうです。でもそこで口角を下げちゃうと、むしろしかめっ面ですね。つうか(;´Д`)ですね。

> kenkaianさん
ああ、"kenkaianさん"と綴ろうとすると、いつもどうしても"kenkaisan"と書いてしまう……。
僕も気心が知れた相手にはなんら笑顔を惜しまないんですがね。そのかわり、気心が知れすぎちゃってると「平山さんの酔っぱらってるときの汚い笑顔」などと形容されてしまいますがね(笑)。
でも書店であんまりニッコリされても……ってのがありますよ。キモチでいいんじゃないでしょうか。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月 8日 (木) 20時01分

明日は無為ちゃんの月命日ですね。無為ちゃんを見ていたときの平山さんは、とてもやさしい笑顔だったのでしょうね。

投稿: りりこ | 2007年3月 8日 (木) 22時07分

りりこさん、いつも忘れずにいてくださってありがとうございます。今朝も夢に出てきてくれました。
たしかに、無為を見てるときの僕はもう、恥ずかしくてお見せできないほどデレデレのメロメロだったと思いますよ(笑)。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月 9日 (金) 00時29分

確かにタイピングしにくいですよねkenkaianって。自分でも時折ミスしますし……。
というわけで、漢字にしてみました。
「狷介さん」「性狷介にして自ら恃むところ頗る厚い奴」「よっ、この博学才穎!」「豊頬の美少年」「虎」などなど、お好みでお呼びいただければ(笑)

投稿: 狷介庵 | 2007年3月10日 (土) 02時19分

狷介庵さん。ああ、これなら間違わなそうだ。
ところでその、自ら繰り出したる別称の数々がきわめて森見登美彦的に思えるのは気のせいでしょうか。「狷介さん」とか普通にキャラとして出てきそうですよね(笑)。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月10日 (土) 02時27分

「狷介さん」──た、確かに……。
そういえば森見さんも作中で『山月記』引いてらっしゃいましたし……。
実際の僕は、普通人とはいかないまでも、そこまでキャラが立ってはいない……はず、です。

投稿: 狷介庵 | 2007年3月12日 (月) 00時28分

えー、狷介庵さんは狙って登美彦先生風に(そして『山月記』風に)書いていらっしゃるだと思ってました! 違うのですか?

投稿: ダレカ | 2007年3月12日 (月) 01時08分

いや、僕もてっきりそう思ってましたよ!(笑)

しかしあらためて気づくのは、登美彦氏の古典のリミックスっぷりがいかに巧みかということですね。それが古典のリミックスであることを知らない読者でも十分に楽しめるという……。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月12日 (月) 01時14分

ユーモアに関して一番影響を受けたのは北(杜夫)さんなんですが、登美彦氏風の韜晦と諧謔はついつい織り交ぜてしまいます(笑)
なお、狷介庵という雅号(のようなもの)は高校時分に捻り出したもので、登美彦氏とのシンクロニシティには爆笑したあと苦笑でした。

投稿: 狷介庵 | 2007年3月13日 (火) 02時15分

北杜夫さんには僕も中学時代に影響を受けましたよ。懐かしいです。いまだに、あれは僕の笑いの核の部分を形成している気がします。

> 登美彦氏とのシンクロニシティ
まさにそれこそ「シンクロニシティ」ですね!(笑)

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月13日 (火) 20時58分

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