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2007年3月19日 (月)

タイトル

 本日未明、小学館向けの書き下ろしを脱稿し、即送信した。結局、無理をしてしまった。脳裏にまざまざとラストシーンが描けているのに、それを文章化しないわけにいかなかったのだ。そんなわけで、睡眠2時間弱で職場に出勤。今日はまだ、脳内麻薬物質が出つづけているから、たいして苦ではない。つらいのは明日だろう。

 タイトルがまだ決まっていない。実はプロフィール欄には仮のタイトルを表記し、それが変われば書き換えたりもしているのだが、本決まりにならないとなんとなく本文には書きにくい。タイトルというのは作品の顔みたいなもので、やはり重要だと思うので、慎重ならざるをえない。

 思えばデビュー作『ラス・マンチャス通信』も、タイトルについてはひと悶着あった。応募時すでにこのタイトルだったのだが、2次選考を通過した時点で新潮社から連絡があり、タイトルを再考した方がいいのではないかと助言を受けたのだ。『ラス・マンチャス通信』だと、「内容がなんだかまったくわからない」上に、「ラ・マンチャの男=ドン・キホーテを連想させてしまって、変なバイアスがかかる」という理由でだ。

 2日ほど猶予をもらってあれこれ考えたのだが、どうにもこれといったものが思いつかない。結局、「迷宮のプラトン」「カルマ迷宮歴程」などを経て、窮したあげくついに「ぐるぐるカルマ紀行」などというやぶれかぶれの案まで出てきたのだが、いくつか候補を挙げて新潮社に判断を委ねておいたところ、1ヶ月後、大賞を受賞したときには、結局もとのままのタイトルだった。最終選考にもそのタイトルで進んだということだ。

 あのときはもう、舞い上がってしまっていて、自分としては必死だったのだが、今から思うと、さすがに「ぐるぐるカルマ紀行」はないだろうと思う。新潮社の良識に感謝したい次第だ。

 もしもデビュー作のタイトルが「ぐるぐるカルマ紀行」であったとしたら、作家としての僕はどうなっていたのだろうか。それは、もしも「サザンオールスターズ」が、「ピストン桑田とシリンダース」や「温泉あんま股引バンド」だったらどうなっていたか、というのに似て、興味ある仮定の話である。

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コメント

先日のブログを読んだとき「きっと平山さんはお風呂を出た後も執筆を続けるだろうなぁ」と思ってましたよ(笑)。無理をしても、何かひとつを成し遂げたときは疲労感より達成感のほうが大きいですよね。お疲れ様でした~(目下から言う言葉ではないですがお許しを)。

それにしても私も『ぐるぐるカルマ紀行』にしなくて、ほんっとによかったと思いますよ!!会社でこのブログを読んだので、大爆笑を我慢するのが大変でした。ひぃひぃ。しかしながら、口元がにやりとしてしまって、怪しい人になっていたかも・・・?

『ラス・マンチャス』という言葉は『ラ・マンチャの男』を想像させると新潮社の方は言ったそうですが、私は平山さんの本を読むまで『ラス・マンチャス=ラ・マンチャの複数形』だとは露知らず・・・。インテリゲンチャならともかく、一般人はきっと知らないですよ~。(と自分を基準に物を考える私です。)

投稿: | 2007年3月20日 (火) 15時29分

『冥王星パーティ』本日入荷し、即座に購入いたしました。
今すぐに読み始めたいところですが、落ち着いて一気読みするために、少し我慢致す所存であります。
なお、入荷数は『ワスチカ』の実績を多少考慮していただけたのか、二桁には乗らないものの、当店としてはまずまずの数でありました。

投稿: 狷介 | 2007年3月20日 (火) 21時16分

> 香さん
僕もあの一文を書きながら、「とか言って絶対無理しちゃうんだろうな」とほぼ確信してました(笑)。ある意味、退路を断つつもりであえてブログにあのように書いたというか。
「ラ・マンチャ」をめぐる指摘については、正直、僕もそのとき、「そうかなぁ?」と思ってました。知ってしまえばそう思うかもしれないけど、知らない状態で「ラス・マンチャス」から「ラ・マンチャ」って普通連想しないんじゃないかなと。というか、まず第一に作者本人が連想してないわけですから。
まあなんにせよ、タイトルには据え置きにしといてくれてほんとに助かりました……。

> 狷介さん
毎度本当にありがとうございます! これで追加に次ぐ追加でまた二桁に達してくれますように。しかし、配本当日にもう関西方面(ですよね?)にも出回っているんですね。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月21日 (水) 00時52分

あ、小生は名古屋であります。小生の店は一応都市圏なので、発売日前日か遅くとも当日には入荷する感じであります。
一体、取次搬入日と発売日の関係は微妙でありまして、搬入→出庫→入荷→(検品して)陳列という手順にはなっているものの、諸般の事情で搬入以降の日程はずれて参ります。
取次の倉庫から近く、売り上げ等の面から重視される都心の大書店では入荷が特に早く、取次が重視していないエリアの田舎にあるようなお店では、入荷日が発売日ギリギリだったりするようです(陳列が間に合わずクレームの元になる事も)。
単純な地域の問題だけでなく、どの取次と取り引きしているかによっても左右されるところがありまして、一概に「東北は関東より一日遅れ」等と言えないところがまた難しいです。

投稿: 狷介 | 2007年3月21日 (水) 20時46分

> 狷介さん
あ、そうそう、名古屋でしたね。
そして、書店サイドからの詳細な解説、恐れ入ります。取次さんがどこであるかによってけっこう左右されるという話は、よそからも聞いたことがあります。微妙な問題なんですねぇ。
しかし僕もさすがに4回目ともなるとそのへんの事情にも多少は通じてきまして、いわゆる配本日前日に勢い込んで告知するのはやめ、事実上「フェードイン」状態でゆるゆると伝えていく戦法を取ることにした次第です(笑)。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月21日 (水) 22時03分

平山さんの著作は、初速で売り逃げるタイプではなく、じわじわといくタイプだと思うので(気付いたら尻が濡れている! みたいな?)、フェードインが似合うと思います(笑)

投稿: 狷介 | 2007年3月21日 (水) 22時29分

「気付いたら尻が濡れている」……巧みな喩えですね(笑)。はい、そんな感じで、搦め手からじわじわと攻めてまいりたいと思います。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月22日 (木) 00時29分

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