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2007年3月25日 (日)

痒みの原因

 左手首が痒い。しかし掻くと痛い。旧ブログ「黒いシミ通信」で詳細に報告しているが、去年の6月末に受けたガングリオン摘出手術の痕だ。8針縫った痕は徐々に消えつつあるが、ときどき痒くなる。掻くと痛いのは、手術の結果、それまでもっと奥にあったはずの神経が表皮付近に移動してしまって、そこが刺激されてしまうからと思われる。では、とっくに癒着している縫合痕がなぜいまだに痒いのかというと……。

 担当の整形外科の先生は、なんというか、大ざっぱな人だった。僕がちょっとでも細かいことを指摘すると、「平山さん、気にしすぎ気にしすぎ!」と一笑に付すのだが、僕に言わせれば彼がいろいろ気にしなさすぎなのだ。診察室でも、ものすごい大声で話すので、待合室にまで内容が筒抜けになってしまう。骨折をしたらしい中学生の男の子が部活を続けられなくなってしょんぼりしている、ということまでわかってしまう。別にわかりたくもないのに。やがて、「○○君、元気出してよ!」と言われた○○君が、ゲンナリした顔で診察室から松葉杖に凭れつつ出てくる。

 手術後、消毒のために通っているときも、カサブタをはがそうというのか、アルコール綿で力任せに傷口をゴシゴシこするので、終わった後、血がにじんでいるし、とにかく手荒なのだ。それでも取るものはちゃんと取ってくれたし、傷の治りも順調ではあったのでよしとしていたが、そんな感じなので抜糸も乱暴だった。作業中、「このハサミ、よく切れないな」と呟いた彼に、「あ、じゃあ新しいのを出しましょうか」とナースさんが提案しているにもかかわらず、「いいよこれで!」とそのまま続行。頼むからもっとよく切れるやつに替えてくれ、と僕は心の中で叫んでいた。

 何ヶ月かして、縫合痕の皮膚の色が元に戻ってくると、そのところどころに、黒っぽい点のような部分があることが気にかかってきた。なんとなく、本来毛が生える部分の上に皮膚がかぶさってしまい、行き場をなくした毛が皮膚の内側で丸まりながら伸びつづけているように見える。あまりの気色悪さにそのうちのひとつを夢中でほじくっていたら、皮膚が破けて、その黒いものが露出した。ピンセットで引き抜いてみたら、あきらかに糸の一部だった。

 すると、それ以外にも2、3箇所あるこの黒っぽい部分も? そして、ときどき襲ってくる痒みの原因はもしかして……。

 これは、言っていいんじゃないかと思う。どう考えても、向こうの手落ちだ。無償での処置を要求してもいいくらいじゃないかと思う。しかし、先生がどういう反応を示すかがなまじ予想できてしまうだけに、どうにも気が進まないのだ。「あー、こりゃ、糸ですね。でもこれっくらい残ってても実害ないから。平山さん、気にしすぎ気にしすぎ!」と一笑に付すか、「気になるなら取っちゃいましょうか」と言うなり、その場で麻酔もせず乱暴に皮膚を破いて糸を抜き去るか。おおかたそんなところだろう。

 しかし、これは気になる。ひところ流行った、人をいやがらせるためのある種の作り話に似ている。海でケガをして、数ヶ月後、どうも膝の調子が悪いと思っていたら、膝の皿の裏側にびっしりとフジツボが繁殖していた、とかいう、その手の話だ。まあ、皮膚の下で毛が伸びつづけているよりはマシだと考えるべきなのか。

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コメント

それは一寸した医療過誤であるように推察されます。一体、医療は技術であるように思われ勝ちですが、医師の性格というのも案外大きいようです。
小生も嘗て、骨折した際にギプスの固定がいい加減で、結果くっつきかけた骨を人力麻酔無しで矯正するという拷問を味わったことがあります。
小生の絶叫が病院中に響いていたそうです。
その時の担当医も、なかなかに豪快な性格の方であったと記憶しております。少なくとも外科的医療に関わる方には、繊細な配慮をお願いしたいところであります。

時に、『冥王星パーティ』、当店では初速が鈍いという感じでもないですよ。また、『ワスチカ』の時もかなりじわじわと売れたので、今回もそのような感じなのでは、と思っています。
作家さん事に売れ方も色々です。お気になさる事はないかと。
むしろ気になるのは、平山さんには女性ファンが滅茶苦茶多いのではないかということでして、本日も妙齢の女性が『冥王星パーティ』を買って行かれまして、憶測が確信に変わりつつあります。
なんともはや、モテモテで羨ましい。

投稿: 狷介 | 2007年3月26日 (月) 01時36分

たしかに、医師個人の性格に左右される面はかなりありそうですよね。そして僕が知るかぎり、一般に外科の先生というのは大ざっぱで力任せの人が多いような気が……。まあ、そういうところもないとやっていけない部分もあるんでしょうけど。

ところで、『冥王星パーティ』、そうですか、そんな感じですか! いや〜、それを聞いて心がだいぶなごみました。まあ、僕の作品ですからね、パッと火がついたように売れる類いのものではないでしょうけど、ここ数日ちょっとしょんぼりしてましたもので……。
しかし、女性ファンですか? どうなんでしょうねぇ。もしかしたら、女性作家と勘違いされた上でそうなのかも(笑)。ただ、はてな時代と比べると、コメントをくださる方々の男女比率が入れ替わってしまっているようには感じており、なんでかなぁとは思っていました。今や狷介さん、数少ない男性ですよ!

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月26日 (月) 02時41分

神奈川県のU隣堂で「けんさく君」に『冥王星パーティ』はどこにあるの? と聞いたら、女性作家の棚だよ、と教えてくれました。平積みでしたが。
稲垣吾郎風の著者近影が載ってるのになあ。

投稿: 黄海 | 2007年3月26日 (月) 06時47分

うわぁ・・・なんか、その病院、ちょっと心配かも。(汗
ある意味、おおらかな先生なのかもれしないけれど
やはり、自分で診察うけるときに、考えてしまいますー。(汗
個人的に、威張っているお医者さんのところには
二度と行かない派なんですが、こうゆう先生も微妙ですね。
手首、よくなってくれるといいなぁと願ってます。

稲垣吾郎風、うんうんたしかにです!

投稿: 果歩 | 2007年3月26日 (月) 07時51分

「シュガー通信」に書かれていたガングリオンですネ!
あまりにもリアルな描写で読んでいて目を覆いたくなるというか・・・辛かったですヨ!
大丈夫ですか?
私も昔(中学生だったかな?)右手の甲(親指と手首の間)に同じ様なグリグリが出来た事があります。
何を思ったのか、というよりどこの病院に行ったらいいのか分からなくて、子供の頃にお世話になった事がある「小児科」に行ったら「脂肪の塊ですね」といわれてその場でいきなりデカい注射器をさされ、あっという間に注入されました。その時に「もしかしたら又同じ場所に出来るかもしれないけれど~」というような説明をうけて「またできるのかよ」とウンザリでしたがどうやら出来なかったみたいです。
ナンカ大変そうで・・・言葉が見つかりませんがよくなるといいですネ!

投稿: まり | 2007年3月26日 (月) 21時01分

> 黄海さん
もう、「平山瑞穂=女」という固定観念が成立してしまっているのでしょう。ふと近影に気づいたときは、「うわナニこの男っぽいオバサン! 誰!」と最初は思うんじゃないでしょうか。

> 果歩さん
この先生は威張ってはいませんでした。二度とかかりたくないと思う医者というと、慇懃無礼で人を不愉快にさせる医者かなぁ。そういう面がなければまあ許せるとしても、もう少していねいにやってほしいなあという。

> まりさん
「小児科」って、対象が「小児」であるだけで、科としては何でもアリなんですよね、よく考えると。しかしそれを言うなら、僕も高校生のとき初めてガングリオンができたときは、どこに行っていいかわからず、とりあえず整骨院に行ったのですよ。そこの先生はさらに手荒で、「あーこりゃ、ガングリオンってやつだねぇ。こうして押せばつぶれることもあるんだよ」と言うなり手首を力任せに親指で押し始め……あまりの痛さに失神してしまい、恥ずかしい思いをしました。
まりさんのは再発しなくてよかったですね。僕のやつは再発するごとに大きくなってましたから。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月26日 (月) 21時38分

ひぇ~潰されちゃったんですか?!
それは凄いですねというか酷いですねというか・・・(絶句)。
ところで平山さんはお姉さんがいらっしゃるのですね。確か弟さんも?
流し読みと書いたけれど、ホントは所々しっかり読んでいたりする(笑)。
私は姉と兄がいて、学年でいうと姉は平山さんより1つ上で、兄は平山さんより1つ下になります。私は兄より2つ下です(謎々です・笑)。
私は姉よりも年齢が近い兄の方が仲が良くて
平山さんの事もつい自分の中では兄と話しているような錯覚をおこしてしまっていて、ナンカいつも生意気?!でどうもすみません。

投稿: まり | 2007年3月26日 (月) 23時48分

いえいえ、親しみを感じていただいているということで、むしろ光栄でございます。
しかし、僕には姉はいますが、弟はたぶんいませんよ、ええ、たぶん、僕の知るかぎりは(笑)。
謎々はわからないですね、早生まれとかではなくて? あ、もしかして閏年の2月29日生まれで、4年に1度しか年を取らないとか?(それじゃまだ年齢的には子どもだろ!)

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月27日 (火) 00時40分

痒いのもつらいですね。しっかり治しておかないと。ほかの病院で診ていただいたらどうでしょう? 作家は手が商売道具ですものね。

投稿: りりこ | 2007年3月27日 (火) 09時42分

もともと、「商売道具が使えなくなったら困る」と思って、全身麻酔をかけてまでの大がかりな手術に踏み切ったわけなので、なんだか本末転倒な結果になってますよね(笑)。折りを見てよそに声かけてみます。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年3月27日 (火) 22時20分

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