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2007年4月19日 (木)

謀略ジャイアントパンダ

 妻がBSかなにかで録画した「パンダ子育て日記」みたいなやつを観る。みたいなやつ。すでにお気づきと思うが、僕が自分から能動的になにかを録画予約したりすることはほとんどない。しかし、人が「こういうの録った」と言うと、けっこう興味を示して観たりする。今回のは、中国の四川省で試みられているパンダの人工繁殖の様子を詳しく追ったものだった。おもしろかった。

 というか、パンダ可愛すぎる。なぜパンダはあんなにかわいい形と模様をしているのか。あの可愛さはいったい何のためなのか。いずれ種として絶滅の危機に瀕したとき、「種が違っていたとしてもなにか可愛いものを可愛がりたがる」という人間特有の性向に訴えかけ、効率的に保護してもらうことを見越していたとしか思えない。事実、人間はマンマとその術中にハマり、パンダを手厚く保護している。

 いや、あながち冗談で言っているのではない。本当にそうなのではないかと僕はかなり本気で考えている。あの可愛さは、彼らの種としての生き残り戦略にほかならないのではないかと。そう思ってしまうほど可愛いのだ、パンダは。「どういうことなんだ! なんだそのザマは! 可愛いにもほどがある!」と難詰してしまいたくなるほど、可愛いのだ、パンダは。

 なにしろあんなに動きの鈍い、弱そうな生き物だ。種の存続を守るためには、なにかこう、思いもかけない裏ワザみたいなものを使うことを余儀なくされていたとしても不思議ではない。

 だいたい、あの「垂れ目模様」は何なのか。普通、生き物がなにかああいった模様をつけるのは、本当は小さい目を大きく見せたりするのが目的と言われている。つまり、威嚇ということだ。しかし、あの垂れ目が「威嚇」になっているとでも言うのか。あのなさけない垂れ目模様が? むしろ、「わたしらには敵意はありましぇーん」と自らアピールしているようなものではないか。

 そりゃ、人間以外の動物に対しては、それなりの効果があるのかもしれない。「大きさ」だけがものをいう世界観の中では(人間でもたまにそういう人がいるくらいだから)。しかし普通の感覚を持った人間が見ると、あれについては、「何それ威嚇? 冗談だよね。だって超弱そうじゃん! リアル目よりむしろ弱くなってんじゃん!」と言わずにはいられない。言わざるをえない。言わないわけにはいかない(村上春樹)。

 しかも、子パンダってずいぶん長いこと、はいはいもろくにできないほど未成熟みたいだし。ぬいぐるみ? あれは野生動物としてはかなり珍しいことなのではないか。立ち上がろうとして短い足をモタモタと動かしているんだけど、床が滑ってしまって何度も失敗しているあのザマ。可愛すぎる。驚異的に可愛い。いーや絶対策略だ。それ以外に考えられない。あれは、「毛むくじゃらで無力なものに弱い」という人間の性質を当て込んでいるのだ。絶対そう! と、今日その録画を観ながら確信した。恐るべしパンダのサバイバル戦略。

 それはそうと、「小説すばる」から依頼されていたコラムのゲラがfaxで届いていた。掲載は5月17日発売の6月号になる予定だ。これもまた、こうして書いておかないと忘れてしまいそうなぼくがいた。

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コメント

面白すぎですー!!
なんか平山さんが「可愛い」「可愛い過ぎる」を連発しているのが違和感があっていいです。かわいいです。あ、冗談です。ご無礼をお許しください。

平山さんの仰るとおり、パンダはいい意味でずるいですね。他にもたくさんの絶滅危惧種がいるというのに、パンダが一番一生懸命保護されているように思えます。そして、それを見守る私たちも心の底からそう思っています。パンダ、絶滅しないで、と。

動物も見た目が9割なのでしょうか?!

投稿: | 2007年4月19日 (木) 23時46分

「可愛い」を連発するのは、僕のキャラじゃないんでしょうね。でも実際の僕は、実はむしろ標準より「可愛いもの好き」だと思いますよ。カラオケの会計のときに、直径3センチくらいのピンクのひよこを店員さんに手渡されてなごんでるくらいですから(笑)。
動物の持つ「可愛さ」というのは、基本的には人間側が勝手に見出しているものだと思うんですが、パンダはあきらかに意図的です。あれは狙ってます。まちがいありません。卑怯なやつらです。でも可愛い! 可愛いんですよパンダ!! うつぶせで寝てる子パンダの足の裏とか!! 抱っこされてる子パンダのブタっ鼻とか!!(落ち着け自分)

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月20日 (金) 00時43分

おはようございまーす。
今日も比較的、遅めの書き込みです。(^-^)
パンダ!!わたしもあの番組みました。
だって、すごくすごくパンダが好きなんです。
だから、平山さんの日記の『パンダのかわいさ』にテンションがあがっているかんじが
すごーーーくわかります!!
わたしは、本気で中国にパンダを見に行こうかと思っています。
中国に住んでいる友達がパンダのかわいさを熱く語ったメールを前に送ってきたのを
読んでからずっとあこがれていて。。。

本当に、あんなにかわいいのに、獰猛なクマだなんて信じられない!
絶対油断させられちゃいますよね!
子パンダを30匹くらい周りにはべらせて一緒にごろごろしたいなぁ。。。
では、今日も仕事にいってきまーす。
平山さんもよい一日にを!

投稿: 果歩 | 2007年4月20日 (金) 06時58分

なんか、あれですよね、中国で、子パンダに触れるツアーみたいのがあるんですよね。でもたしかそれだけで5万円だかけっこうお値段が張ったと思うんですが。5万円……。これを高いと見るか安いと見るか……。
子パンダはほんとに、ぬいぐるみみたいですね。そしてまだ自力で立てないうちは、「たれぱんだ」みたいに地べたに平べったくなってるんですよね。「たれぱんだ」の着想自体が子パンダのあの姿からなのかな、とハタと気づきました。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月20日 (金) 22時46分

サンディエゴ動物園のpandacamです。
とても可愛いですね♪
http://www.sandiegozoo.org/zoo/ex_panda_station.html

投稿: ダレカ | 2007年4月21日 (土) 02時23分

ああ、酔いを醒ましていたらこんな時間に……。ついでに、とってもかわいらしいリスさんをご紹介いたします。日本語で「何リス(えぞりすとか。えぞりすさんはお元気でいらっしゃるのかしら?)」というのか調べられなかったのですが……。
http://www.sugarbushsquirrel.com/index.html

投稿: ダレカ | 2007年4月21日 (土) 03時33分

サンディエゴでも、パンダの名前はやはり中国風なのですね。ところでこの、「サトウヤブリス」(直訳)、何者なんでしょうか。本人も嬉々としてコスプレを楽しんでいるようにしか見えないんですけど(笑)。というか、ディズニーのキャラクターみたいですね。"Sugar"を介してなにやら親しみを感じますが。
それにしても、「酔いを醒ましていたら」って、ダレカさん的にはけっこう珍しいシチュエーションなのでは?

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月21日 (土) 14時38分

はい、珍しいですね^^
昨日はお風呂上りに250mlのチューハイを一缶飲んだだけなのに、予想以上に回ってしまいました。
飲んだのは、森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』が第二十回山本周五郎賞ノミネートというお祝い事があったからですが、そのせいもあるのかも?
いつか、センセイのお祝い事でも気持ちよく酔いたいものです^^

投稿: ダレカ | 2007年4月21日 (土) 23時50分

そうですね。いつになるかわかりませんが、なるべくそう遠くない将来に、ダレカさんに(250mlのチューハイで)祝ってもらえるような立場になれるといいなと思っております。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月22日 (日) 01時36分

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