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2007年4月15日 (日)

お約束は大事

 妻がBSだかなんだかで録画していた「少林サッカー」を観ようと言う。だいぶ前にテレビでやっていたのを観たことがあったが、あらかた忘れてしまっているし、ああいう荒唐無稽な話は基本的に好きで、ときどき猛烈に観たいと思う。せっかく録ったのなら観ようということになる。

 冒頭がいきなり陰惨なシーンで、そういう描写が好きではない妻が引いている。

「ねぇ、この映画って楽しい映画じゃないの?」
「いや、これは香港映画のお約束で、最初の方に必ずこういう“暗い過去”の描写があったりするんだよ。そして復讐を誓う彼、みたいな。途中からはバカバカしいコメディタッチになるし、基本的にハッピーエンドだから安心して」

 やがて僕が言ったとおりの展開になり、妻も安心して続きを観始めた。その後も、主人公たちがひどい目に遭うシーンが折々に現れ、そのたびに妻が一瞬イヤな顔をするのだが、そのうちパターンが読めてきたらしく、「これは要するに、こいつらが後でこっぴどくやり返される伏線なわけだね?」と気にしなくなった。

 そのとおり。主人公たちがひどい目に遭えば、必ず、その後に意趣返しのシーンがある。それこそが香港映画のお約束だ。そして、「お約束」というのは本当に大事なものだと思う。

 ところで、あの映画におけるチャウ・シンチーのキャラクターをあらためて観察していて、なんだかだれかに似ていると思い、しばらく考えていてわかった。『逆境ナイン』の不屈闘志だ。あの、本質的に明るくて前向きで、なおかつ天然で、男女関係の機微に関しては異様なまでにニブい感じ。「少林サッカー」の背景にはたとえば「キャプテン翼」などの日本のコミックの影響が濃厚に見て取れるが、「逆境ナイン」を翻案した映画なども香港ベースで作ってくれるといいのになぁ、と思った。

 さて、その一方で、「小説すばる」から依頼されていたコラムの原稿を送信した。コラムなどは、当然のことながら、字数がわりと厳密に制限されている。たいていの場合、言いたいことを全部書いてしまうと、圧倒的に文字数が多すぎる。削って削って、制限内に収めることになる。それはつらい作業だが、そうすることによって研ぎ澄まされる部分もある。そしてその作業が、僕は嫌いではない。

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コメント

『少林サッカー』私も観たことがあります!そんな目を伏せたくなるような場面があったかな・・・と思い出せないぐらい前なんですが、あまりのばかばかしさに返って心から楽しめました。
勧善懲悪。大事なお約束ですよね。

ところで『シュガーなキムタク』のコメント、盛り上がりましたねぇ。監督までコメントとは!思わず「私を使ってください!」といいたくなりましたよ。(←昔、芝居をやってたことがあったので。)
冗談はともかく、私はあのコメントを書いた夜、コメントに「しょうゆ顔」と書いたせいで、夢の中で”ソース顔”の平山さんと会いました。顔は写真で知っているのに何で?!という感じで、目が覚めて一人笑ってしまいました。
ソース顔の平山さんは・・・ノーコメント。

投稿: | 2007年4月16日 (月) 00時43分

勧善懲悪って、わかってるのについ期待してしまい、「悪」が懲らしめられると「ザマーミロ!」って叫んじゃうんですよね。映画大国であるインドの映画とかほとんどがそうだって話ですけど……。

香さん、機会があればぜひ、出演してくださいよ。僕もチョイ役で出られないかな、「特別出演」とか言って(笑)。

それにしても、ソース顔の僕……。
うーむ、見てみたいです。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月16日 (月) 02時15分

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