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2007年4月 7日 (土)

スパゲッティを茹でる

 村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』を読んでいる。ずっと前に読んだ気になっていたのだが、どうも読んでいないような気がして、第1部を読んでみたら、途中までは覚えがあったが、途中からまったく記憶がないので、やはり、少なくとも読み切ってはいなかったようだ。

 そして僕は、この人の作品を読むたびにいつも、相反する2つの気持ちを同時に感じる。ひとつは、ああ、やっぱりこの人はすごいな、好きだな、という気持ち。そしてもうひとつは、この人の作品のある部分が自分は大嫌いなのだ、という気持ちだ。

 しかし、何が大嫌いなのかを、うまく言葉にすることができない。主人公がしょっちゅうスパゲッティを茹でてることとか、ビールを飲んでることとかもなんだかイライラするのだけど、それだけではない。強いて言えば、彼(村上春樹の主人公は、結局、毎回同一人物だと僕は思っている)がいつもなんらかの意味で「当事者であることから逃げている」その感じが気に食わないのだろうか。しかしたぶん、だからこそ、村上作品はこれだけの支持を得ているのだろう。読者側がそのことを自覚しているかどうかは別にして。

 なんだか疲れてしまって、ほぼ1日中、何もできなかった。……といったことを、なんだかしょっちゅう書いている気がするが、やるときはやっているのだ。たぶん、もともと体力があまりないので、テンションを持続的に高い状態に置いておくことができないのだろう。

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コメント

おはようございまーす。(^-^)
村上春樹さんの小説。。。かなり好きです。
というか、もう本棚が村上本でいっぱいというか。。。(汗
昔は、好きすぎて、すべての作品をラブラブな
気持ちで読んでいて自分を見失って
いたように思うくらいですが、
いま、自分の中で少し落ち着いて改めて
本を読み直してみると、やはり村上さんの小説の中にも
自分では受け入れられない気持ちになったり
することがあるようになりました。
それは、当たり前だと思うんですが、小説を書く
職人っぽいところが、結局好きなのかもしれないです。
なにをいっているのか、またわからなくなってしまいました。(汗
でも、平山さんの言うことがわかるなぁと
思ったので。。。
では、今日も一日いい日でありますように!

投稿: 果歩 | 2007年4月 8日 (日) 06時12分

お久しぶりです。mizuです。
私も、村上春樹さんの書くものが全作家の中で一位二位を争うっていうくらい大好きな人間なんですけど、
それでも気に食わないと思うところがあります。
平山さんの言うところとはちょっと違うかもしれませんが、っていうか違うんですけど、
「結局それは自分一人の物語なのに、それを他者にまで押し付けている」という気がする点です。
「海辺のカフカ」が、読んでいて一番悲しかった本です。おじいさんが死ななければならなかった理由に、納得がいかなくて。


「冥王星パーティ」読みました。
もう何か色々きつくって、
読んでる最中に何度か「うあー」とかって呻き声が出ました(?)。
もちろん褒め言葉です。
すごく良かったです。
ただ、作家的個性という点での戦略が感じられないので、
商売的には一ファンとして少し心配になっちゃったんですけど……
売れるといいなあ。

あ、ちなみに、やっぱり女性作家のコーナーに置かれてました。

次は小学館から出るんでしたね。
楽しみにしています。

投稿: mizu | 2007年4月 8日 (日) 13時50分

村上春樹は「僕」視点で読むと共感できる部分も多いのですが、そうじゃないとかなりきついです。『ねじまき鳥クロニクル』だと「こういう人だと妻が出て行くのも仕方ないかも」と思ったり、『ノルウェイの森』だと「病気で入院している女性に性的虐待を加えておいて、そういうことも原因となって彼女が自殺したら嘆くって、一体なんなんだこいつは!」とか頭にきてしまいます。でもときどき読み返してしまうんですよね。

そうそう、朝日新聞の生活面の「患者を生きる」コーナー、次回からは糖尿病ですね。センセイやご著書が登場したりしないかしらん。

投稿: ダレカ | 2007年4月 8日 (日) 17時03分

> 果歩さん
僕も村上春樹は大学生くらいの頃、夢中になって読みあさりました。そうかと思えば、なんだかいやでたまらなくなって、10年くらい一切読もうとしなかった時期もあります(極端ですね)。ここ数年で、「なんだかんだいってやっぱこの人はすごいな」と思い直し、穴を埋めていっている次第。その結果、「好きなところもあれば嫌いなところもある」という、ごくあたりまえの結論に達しつつあります(笑)。

> mizuさん
お久しぶりです。「他者にまで押し付けている」、なるほど、なるほど。なんか、それもわかります。あと、彼はわりとドライに作中人物を殺しますよね。ああいうのを見ると、僕はまだまだ甘いな、と感じます。

で、「冥王星」、読んでくださってありがとうございます! 今回は、「思い当たる節」がきっと多くの人にあるだろう、という思いで書きましたので、「きつく」感じてくださったなら大成功と言っていいでしょう(笑)。
「作家的個性という点での戦略」に関しては、おっしゃるとおり、今回はあまりにニュートラル過ぎたかな、と思わないでもないです。ただ、このブログでも何度か言っているとおり、これは本来、「ラスマン」の次に本にしたかった作品なのです。当時の僕は、「ラスマン」のイメージを払拭するのに必死だったのですよ。つまり、「このままじゃ次の注文が来ない」と思って(笑)。ある意味、これでやっとスタート地点に立てたかな、というのが実感なのです。「個性」を出していくのはこれからなんじゃないかと。
ちなみに小学館のやつは、そういう意味ではかなり「個性」を出していると思いますよ。

> ダレカさん
それですそれです、そういうことが(というか、そういうことも)言いたかったのです! 学生くらいの頃はなんの疑問も抱かず「僕」視点に同化していたんですが、世間を知っていくにつれ、「ちょっと待て」と思うようになってきまして。
> 「こういう人だと妻が出て行くのも仕方ないかも」
まったくそのとおりです。僕は今、オカダトオル氏についてまったくそのままの感想を抱いているところです。
> 性的虐待
笑。ほんとですよね。というか、『ノルウェイの森』って、ツッコミどころ満載だと思います。
しかしそれにもかかわらず、読み返したくなってしまうのは、そういう部分を超えた魅力がなにかあるからにちがいないのです。それこそがあの人の、決して否定できない才能なんでしょうね。

朝日新聞の件は、存じませんでした(最近、ろくに新聞を読む時間もなくて)。しかし、すでに一回、登場しちゃってますからねぇ……。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月 8日 (日) 18時13分

私なんか「村上春樹」は学生の頃、姉が好きだった?か知らないけれど本棚にあったのを
1冊読んだかな?というそれぐらいの記憶しかありません(大汗)勿論題名も覚えていないし「おおこれがあの村上春樹か~」と思って読んだ記憶しかないという・・・(超はずかしいです)。
数年前、雑誌で「人生相談」のようなページで「村上春樹」が答えていたのを読んだのが
しっかりと彼の書いたものを読んだ最初で最後なのですが、普通の人?とは違う彼独特の考え方(世界観?)で面白い事はオモシロかったです。(こういう考え方もあるのだなと)皆さんも書かれているようにすべてをうけいれられるかどうかは別としてかなりアクが強いと感じました(笑)。

それはそうと、コメントに割り込んでしまって失礼します。
「思いあたる節がきっと多くの人にあるだろう」という平山さんのお言葉ですが、思いあたるどころかマンマではないかとメチャクチャきつかった私ですが、祥子に関しても私も含めて(多分女性なら)付き合う男性の影響は大なり小なり受けていると思うので、そういう点でもこの小説はたくさんの女性が(勿論男性もですが)読んで何かしら感じるものがあると思うのではないかと・・・たくさんの人が読んでくれるといいですネ!
問題?の榛菜ですが女性なら(男性でも?)誰もがもっている嫉妬心やライバル心、そして自分の周りの環境や他のせいにして開き直れる女性特有の図太さなどとても上手く表現できていたと思います。行動に移すかどうかは別として誰の中にもある心の闇ではないかと思いました。

投稿: まり | 2007年4月 8日 (日) 19時48分

村上春樹に人生相談! いや〜、僕も彼は作家としては好きですけど、彼に人生を相談しようとは思わないなあ(笑)。いったいどんな質問でどんな回答だったんでしょう。興味あるところです。

榛菜的な嫉妬心とかって、もちろん、男性も持っていると思いますよ。ただ、それが女性に比べて目立たないのはなぜなんでしょうね。男性について僕がときどき感じるのは、「人の成功などを素直に認めたがらない」ってとこですかね。「よくやったね」と目を見て言わないとか。なにかひとこと辛口の批評を添えずにはいられないとか(笑)。女性の場合は、その場では「おめでとう! すごいねー、よかったねー!」と惜しみなく賛辞を振りまいておきながら、内心「ケッ!」と思っていたりする(場合もある)ってとこが怖いんでしょうかね。いや、もちろん、人それぞれですけどね。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月 8日 (日) 21時10分

平山さ~ん、ごめんなさ~い(大汗)。
間違えました。これこそ本当の超はずかしいです。
人生相談は村上春樹ではなくて、村上龍でした(涙)。村上春樹に人生相談ってそんなにびっくりする事かな?とふと不思議に思って考えていたら、村上龍だ!って気が付きました(間違いナシです)
もしかしたら、学生の頃に読んだ本というのも村上龍の可能性大です。
これ以上この話題を書くのも恥ずかしいのでこれで終わりにします(汗)。
村上春樹のファンの皆さんごめんなさい。大変失礼致しました(汗)。

投稿: まり | 2007年4月10日 (火) 19時27分

どうりで!(笑)
いや〜、変だと思ったんですよ、村上春樹が雑誌で人生相談って。いや、ありえないことではないんですけど、なんだか強烈な違和感があって。というか、いったいどういう答え方をしているのかまったく想像がつかなくて。村上龍氏なら容易に想像できます。なるほど!
まあ、「W村上」などと並び称されていた時代もありますしね。いえいえ、読みつけない方にとってはよくあることでしょう。おもしろかったのでこれはこれでOKってことで!(笑)

投稿: 平山瑞穂 | 2007年4月10日 (火) 21時44分

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