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2007年5月13日 (日)

よいまずさ

 夕飯は冷やし中華だった。妻が突如、「冷やし中華食べたい!」という衝動に駆られたためだ。実は妻の帰りが遅かった昨夜、僕は1人で近所のジョナサンに行って冷やし中華を食べたのだが、具材を買ってきた妻の嬉しそうな顔を見て、それは言わずにおいた。

 ところで、突如「冷やし中華食べたい!」という衝動に駆られたという妻の心情は、よく理解できる。突然食べたくてたまらなくなるメニュー、というのがいくつかあって、冷やし中華はまちがいなくその中で重要な位置を占めている。それはたぶん、僕たち夫婦だけの問題ではなくて、日本人なら、あるいは、日本の食文化圏に生活している人なら、かなりのパーセンテージであてはまるのではないだろうか。

 なんか文章が変だな。「日本人、あるいは、日本の食文化圏に生活している人のかなりのパーセンテージが共有している感覚なのではないだろうか」。まだダメだな……。「パーセンテージ」にこだわるのがいけないのかな。たとえばこれでどうだろう、「日本人、あるいは、日本の食文化圏に生活している人なら、すんなり首肯する向きも少なくないのではないだろうか」。うーむ……。

 いや、こんなところでつまずいていてもしかたがない。とにかく、おそらく多くの人がときにそう思ってしまうであろう料理というものがいくつかある。ごくオーソドックスなラーメン(なるとや海苔が載ってるやつ)や、カレーライスなどもその仲間なのではないかという気がする。

 そしてもしも冷やし中華が食べたいと思ったのであれば、家で作るにせよ、外に食べに行くにせよ、このシーズンならたいていは容易にその願いを叶えることができる。しかし僕はときどき、「大学のとき“第一学食”で食べたあのまずい冷やし中華を今食べたい!」という衝動に駆られることがあり、そればかりはかんたんに叶えられることではないので、少々困る。

 あらかじめ茹で上げて冷やしておいたせいで固まってしまっていて、引っ張ろうとすると全部くっついて皿から持ち上がりそうになる麺を、たれで少しずつほぐしながら口に運んでいくあの感じ。あの「くっつき具合」や麺の「伸び具合」を忠実に再現するのは、なかなか難しいのではないか。

 それに、仮にその絶妙の「具合」を家で再現できたとしても、それはすでに僕が食べたい「“第一学食”のまずい冷やし中華」ではなくなってしまっている気がするのだ。ああいうのは、ほかに選択の余地なくそれを食べている(食べさせられている)という条件があって初めて得られる「よさ」なのだ。まずいものにもそれなりのよさがあるが、わざわざまずく作ったものにその「よさ」が備わっているとは限らない、ということなのだ。

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コメント

 夫が「冷やし中華」を好きではないので、我が家の食事のメニューには登場しません。
ですから、夫が居ない時を見計らって、「おっ、今日は冷やし中華を食べるぞ!」といった具合に作ります。

 そう言えば、私の大学の食堂の「冷やし中華」も平山さんがおっしゃるとおりの味でした。
 でも人気があって、昼前の講義が長引くと、もう売り切れていました。
そういえば、冷蔵庫に作り置きしていたので、冷蔵庫に入るだけの皿数しか作ってなかったのですね。
ああ、懐かしい「まずおいしい冷やし中華」・・・。
 


投稿: シュガーズワイフ | 2007年5月14日 (月) 00時08分

その感覚わかります。
私も大学学食のチキンカツ定食とか、小学校の給食で出たラーメンなどが、懐かしく思い出されます。また食べてみたいと。
本当のところ、チキンカツは脂っぽいし多少覚めている。給食のラーメンなんかはもっと最悪でのびきっているし熱々ではない。でも、あの”まずうまい”味は懐かしくなりますね。

昔テレビで、給食を出すレストラン(というか食堂?)を紹介してました。机もいすもあの、小学校時代のものを使っているとか。
機会があったら行ってみたいです。

投稿: | 2007年5月14日 (月) 00時55分

> シュガーズワイフさん
学食の冷やし中華って、もしかしてどこでもまずいんでしょうか。学生相手の商売だからこんなもんでいいだろうってナメてるんでしょうかね。しかしそれでも人気があるという(笑)。結局、そこで需給のバランスが取れているのでそれで成り立っているということなのでしょうか。もっとも、僕もその後わざわざ母校の学食に行って「検証」したわけではないので、今でもその「まずおいしい」状態なのかどうかはわからないんですけど。

> 香さん
へぇ〜、小学校の給食でラーメンが出たんですか! 僕の頃は、というか、地域の問題なのかもしれませんが、めん類といえば「ソフト麺」だけでしたね。要するに「やわらかいうどん」なんですけどね。「ソフト麺」つていうネーミングは巧妙ですよね。どれだけ伸びていても「ソフト麺」なんだからそれが当たり前という(笑)。
こうして考えると、子ども時代から学生時代にかけて、食生活に関してはずいぶん足もとを見られていたんだなぁという感じがします。子どもは腹が減るものだし、腹が減ってりゃなんでも喜んで食べますからね。でもそれが結果として、「あの思い出の味」になっているという。よくできたもんです。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年5月14日 (月) 02時18分

「まずいもの」というと、中島らも氏の「全日本まずいもの愛好連盟」というのを思い出しますね。あと、わたしは給食が全部食べ切れなかった上にグラタンがとてもまずかったので、いまだにグラタンというものが苦手です。

ところで、ちょっと伺ってみたいことがございます。先生の場合、雑誌のインタビューなどについてもこまめにブログで告知されていらっしゃるのと未確認の情報もあるので、mixiのコミュニティのお仕事リストが途中になっております。それで、他の作家さん方のものを参考に、いっそのこと今後はwikipediaで更新しようかどうしようかとアカウントを取ってみました(記法がわからないのでまだ取り掛かっておりません)。
ところが、つい最近、とある作家さんのwikipediaを見直してみたらかなり充実していたので、mixiでご紹介&明らかな誤字・脱字を修正・追加などしていたところ、某所で「イタイファンが増えた」「生暖かい目で見よう」などと書かれていました。どうも、その作家さんについての紹介文が気に入らなかったらしいです(それを書いたのはわたしではありませんが、誤解されても仕方ないと思います)。はてなダイアリーでも「キーワード合戦」というものがあり、削除合戦とかかなり熱中している方もいらっしゃるようなので、難しいところです。
はっきりわかるものについては、とりあえずmixiの方ででも

「作品名」(「掲載誌」×年○月号)

などと書き留めておく&正確な号数がわからないものについては情報を求めるようにしようかと思いますが、この程度だともめなくて済むのでしょうか(ただし、この場合でも「先生のブログでわかることなのにうっとおしい」と思われる可能性高し)。

正直言って、この程度の陰口でもかなりへこんでしまっていて、「mixiでは別名にして、はてなダイアリーのアドレスは出していなくてよかった~」と思っています。同時に、作品についていろいろな意見が出ているであろう先生のストレスはいかばかりかと心配になります。

投稿: ダレカ | 2007年5月14日 (月) 04時23分

おはようございまーす!
冷やし中華! いいですねー。
今年は、まだ食べていないけれど
バイト先のコンビニでは、少しずつ
冷やし中華が売り上げをあげているようです。(^-^)
たまに、むしょうに食べたくなるものは
わたしは、給食のナポリタンです。
今、レストランとかで食べると、ちゃんと
アルデンテの固めのパスタが主流だし、それももちろんおいしいけれど
たまに、あの給食のパスタののびきった
やわらかいケチャプ味のナポリタンが
とっても食べたくなります。
自分でつくっても、なかなか再現できなかったりするんですよー。(笑

投稿: 果歩 | 2007年5月14日 (月) 06時20分

あー!失礼しました(赤面)。
私のいいたかったラーメンというのは、ソフト麺のことです。はっはっは。
完全に”ソフト麺”というネーミングがあったことを忘れていました。

投稿: | 2007年5月14日 (月) 16時49分

> ダレカさん
wikipedia等、加筆してくださるのはとても嬉しいです。ありがとうございます。ただし、具体的な記載内容に関しては、僕自身はあれこれ言える立場にはないとは思いますので、「お任せいたします」としか言えません。

その某所での中傷が直接ダレカさんを指したものなのかどうかはわからないのですが、まあ、口さがない人はどこにでもいますよね。僕も2、3、覚えはあるので、心中お察しします。作品それ自体についての公正な批判なら甘んじて受けますが、あきらかに悪意からの誹謗・中傷・揶揄には、やはり傷つきますし、ものすごく腹が立ちます。その後の1日がだいなしになるほどです。とはいえ現状、僕もこの程度の知名度なので、まだ軽傷で済んでいるものかと。基本的には、「そういうのはスルー」と自分に言い聞かせております。
どうしたってなにか言う人は言うわけですから、気にしだしたらキリがないし、何も言えなくなってしまうと思います。良識に照らして順当と思えるものなら、書いてしまってかまわないのではないか、と個人的には思いますが……。

> 果歩さん
ナポリタン、なるほど! 入ります入ります、それも「ときどき食べたい衝動に駆られる料理」に!
ダサい喫茶店などでナポリタンを頼むと、給食のアレに限りなく近い風味のものが出てきて感激したりすることもあります。なんかこう、「焼きそばかよコレ」みたいな。妙にぶっとくて途中でブチブチ切れてるみたいな(笑)。

> 香さん
“ソフト麺”というナイスなネーミングを忘れるとは!(笑) ちなみにわが家では、僕や姉が食べ切れずに半分残して持ち帰ったソフト麺を、よく父親が適当に作ったつゆで素うどんにして片づけていて、それを見ると妙にうまそうで、急にうらやましくなったりしていたものです。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年5月14日 (月) 21時59分

お返事、ありがとうございました。
wikipediaの編集方法、勉強してみます。

投稿: ダレカ | 2007年5月15日 (火) 01時25分

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