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2007年5月 9日 (水)

誰に口きいとんのや

 連休明けから、夜中や明け方に吐き気で目が覚め、慌てて跳ね起きることを繰り返している。大丈夫かな、と思って再び横になり、ウトウトしかけると、また喉元になにかがせり上がってくる。おかげで、ろくに眠れない。日中はわりと平気だし食欲も普通にあり、痛みなどもないのだが、眠れないのは困るので、今日、病院に行ってみた。

 たぶん胃酸過多だろうとのこと。しばらく薬を飲んで様子を見てみることになった。基本的に無理な生活が祟っているのだろうが、なんだか糖尿病以外にもしょっちゅう病院のお世話になっている気がする。現状、痛みはおさまっているものの、実は椎間板ヘルニアだし。

 なお、今日行ったのは駅前の総合病院なのだが、待合室で本を読みながら呼ばれるのを待っているとき、去年の4月ごろにそうしていたときのことをふと思い出していた。風邪で熱が出たのだが、たぶん日ごろの過労が災いして、1週間以上熱が引かなかったのだ。

 糖尿病患者としてかかっているのとは別の病院なのだが、因果関係がないかどうか確認するため、一応、尿や血も採られた。その日は、ちょうどその結果が出る日でもあった。初対面の医師は内科の診察室勤務だが、専門は内分泌系、つまり糖尿の専門医だ。彼は僕のヘモグロビンA1cの数値を見ると顔色を変えた。

「A1cが7.4ですよ」
「はい」

 そんなことは知っている。かかっている糖尿病専門クリニックで、ちょっと前に検査結果を聞かされたばかりだ。過労による肉体的ストレスから、インスリンの効きが悪くなり、数値が悪化に転じていた矢先だったのだ。

「7.4って、これ、かなり悪い数値ですよ」
「そうですね」

 そんなことはわかっている。しかし今日は、糖尿病のことでこの病院に来たのではないのだ。熱を下げてほしいだけなのだ。だいたい、発熱すると血糖値はものすごく高くなる。だからこそ、まず熱を下げてほしいと言っているだけなのだ。

「A1cって、過去1、2ヶ月間の血糖コントロールの状態がわかる数値なんですよ」
「はあ」
「検査の前日だけズルをしてもバレちゃうんですよ」
「……」
「それが7.4なんですよ。正常な人はこれが5.5以下なんですよ」
「あんた」
「は?」
「あんた、俺様を誰だと思ってんだよ。世界初(?)の糖尿病小説『シュガーな俺』の著者なんだけど。あんたがさっきから並べてる御託を知らねーとでも思ってんのかよ。あぁ? モグリかあんた。顔洗って出直してこいやぁっ!」

 いや、後半は創作である。そのときの僕は熱で意識もモウロウ、病院まで自力で来るのがやっとというありさまで、言い返したり弁明したりする余裕はとてもなかったのだ。第一、2006年4月現在、僕はすでに『シュガーな俺』の執筆に取りかかってはいたが、まだ本にすらなっていない。

 まるで僕が、血糖値のことなど考えもせずに好き放題な暮らしぶりをしているダメ患者であるかのように決めつけるあの口ぶり、今思い返しても腹立たしい。しかし、今日かかった先生は別の人だった。いつか軽く意趣返しができればいいのだが、むこうはもう僕のことを覚えていないだろう。

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コメント

大丈夫ですか?!
ブログのコメントに時間を見るといつも真夜中だし、昼間は会社員な訳ですから、万年寝不足ですよね。心配ですよ~。
本当に無理はしないでくださいね。と誰もが言いそうなセリフでかたじけない・・・。

後から思い出しても腹立たしいことって、頭の中で”言ったらすっきりするだろうセリフ”を心の中で反芻しちゃいますよね。
ところで、よかったですね。今では立派に『シュガーな俺』の作者ですから、いつでも啖呵が切れます!?

投稿: | 2007年5月 9日 (水) 23時06分

夕食後、薬を飲んだら、胸のあたりにあった微妙な違和感はおさまったようですが、今晩、寝に就いてからじゃないと効き目があったのかどうかはわかりませんね。
まあ、僕は本当にヤバいと思うとわりとあっさりとすべてをなげうってしまうので、大丈夫だと思いますよ、最終的には。
「”言ったらすっきりするだろうセリフ”を心の中で反芻」って、僕は年がら年中やってますよ。そういうネタが常時10個くらいあります(笑)。だったらそのうちのひとつでもいいから実際に言えって感じですけど。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年5月10日 (木) 00時36分

おはようございます!
なんだか、体調がすぐれないみたいで
心配です。。。(汗
病院の薬で少しでもよくなっているといいなぁ。。。
病院での『誰に口きいとんのやー!』って
本当に平山さんがいったのかと思ってびっくりしました。(笑
でも、心の叫びで安心。でも、関西弁って迫力あって
怒るときにつかってみたいなぁと思ってしまいます。(^-^)
たまに、バイト中に態度の悪いお客さんに接していると
『おまえ、何様なんじゃー!』といいたくなります。(笑

平山さんの体調が回復すること願いつつ・・・(^-^;)

投稿: 果歩 | 2007年5月10日 (木) 07時47分

うーん、でも、最初に「糖尿でほかの医者にかかってますが、今日は風邪の熱を下げたいので」ってひとこと言っておけばよかったのでは??

まあたぶん、そのお医者さんも、上から目線でいろいろ言ったのでしょうけどね。こんなふうに、医者と患者ってコミュニケーション不全に陥っているんだなあ、と思います。

なにはともあれ、おだいじに。

投稿: 2/3 | 2007年5月10日 (木) 15時39分

平山さ~ん「糖尿病手帳」を持っていかないと!
先日、眼科に定期健診(半年に1回いってます)に行ってきましたが、今凄く悪化しているので(ストレスで悪化するってホントだと
思います)シュンとしてたんですが、先生がカルテと糖尿病手帳を見ながら、前回の検査の時は・・・「5.9」でよかったんですね・・・今は「・・・(高い)」検査後は一言「下げておいて下さいね」。「ハイ」。

糖尿病外来に受診しても、結局自分でコントロールするしかないから一時的に悪化しても
又もとに戻しましょうといわれるだけで、医師って何にもする事がないんですよね。全部自分でやっているのだから、血糖のコントロールが上手くいっている人は医療費安くしてよって思います。検査結果教えてもらってインスリンの処方箋書くだけじゃんって毎回思ってしまいます。

投稿: まり | 2007年5月10日 (木) 19時09分

こんばんは、先生、お久しぶりです。
「冥王星パーティ」読みました。感想が遅くなり、申し訳ありません。 先月~今までちょっと忙しくて、書き込みができませんでした。 一番心に残った所は、「やり直しはきかない、しかし先に進む事はできる」←私はここが一番好きです。 この部分を何回も読み直しました。 「自分がつけてきた足跡を消す事はできない。」でも自分(私)も今、この時からの1歩は自分のしたいように、生きたいように歩きだす事はできんるんや! 蘇生するような、すがすがしい明るい気持ちになりました! 力を頂いた様な感じです! いろんな事がありますが、いつも「タフ」で少々の事ではへこたれない自分でいたいと思います。(ブログの内容のコメントではなくてすみません。 感想を早くのべたかったので) いつも心より応援しています。 頑張って下さい!

投稿: epika | 2007年5月10日 (木) 21時58分

続きです!
ごめんなさい。話が違う方にずれてしまいました。
それにしても、変な先生(プンプン・怒)
こんなチンプンカンなやりとりされたら、腹が立って当然です。
どうぞお大事になさって下さい。

投稿: まり | 2007年5月10日 (木) 21時58分

あれ、問診表はなかったですか?
新しいところにかかるときって、大抵「今日はどのようなことでいらっしゃいましたか」「他にかかっている医療機関や服用している薬はありませんか」など記入する用紙をわたされるものだと思っていました。

それにしても、お大事になさってくださいね。

投稿: ダレカ | 2007年5月11日 (金) 01時01分

> 果歩さん
関西弁、あこがれますね、悪態をつきたいときは。広島弁とかメチャクチャ迫力ありますよね。あと、「関西弁」なのかどうかはわかりませんが、土佐弁とかも憧れます。でも、幸か不幸か、実際に悪態をつく機会なんて、大人になってしまうとめったにないのですよね。

> 2/3さん
いや、言ってあったんですよそれは。というか、そもそもそのときは風邪を理由にその病院にかかっていたのであって、その3回目の診察だったのです(なかなか熱が下がらないので)。大病院で先生は日替わりなので、そのお医者さんと対面するのは初めてでしたけど。
それに僕は、「風邪でかかってるのに糖尿のことを言われた」ことに対して腹を立てたわけではなくて、「ダメ患者と決めつけられた」ことにムッとしたのです。まあ、専門医である彼としては、指摘せずにいられなかったのでしょうし、まして僕が「(やがて世に出る)糖尿病小説」の著者であるかどうかなんて彼にとって知ったことではないわけですが(ということを踏まえた上で、「でも悔しかった!」というネタなんですよ、今回のは・笑)。

> まりさん
たしかに、糖尿病患者に対して医者ができることって非常に限られてますよね。比喩的に「糖尿病は患者自身が自分の主治医」とか言われるのはそういうことです。だから彼らは、患者のモチベーションをいかに高めるか、ということに心を砕かざるをえないのだと思うのですが、不幸なことにそれもできていないお医者さんがけっこういるような気が……。

> epikaさん
お久しぶりです。「冥王星」、読んでくださってありがとうございます。そして、僕がいちばん伝えたかったことをきっちり汲み取ってくださってありがとうございます。まあ、ああいう小説を書いた僕自身が、しばしばへこたれそうになってしまいもするわけですが(笑)、気持ちとしては、いつもああいう心意気でいたいなとは思っております。おたがい頑張りましょう!

> ダレカさん
いや、問診表ありましたよ。で、そこに、「来院の理由」として「風邪による発熱」、「既往歴」として「1型糖尿病」としっかり書きました。糖尿病患者としてどこにかかっているかも、くだんの医師とのやりとりの中でちゃんと言っているのです。それにもかかわらず、ってとこに本文のポイントがあるんですけどね。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年5月11日 (金) 01時58分

平山さん、大丈夫ですか。
一読者として気を揉むことしかできなくて、非常に情けないですが。心配です。
どうぞ、ご自愛ください。
それにしても、実際に平山さんが啖呵切ったら面白いだろうなー、なんて。失礼。
つい、想像してしまいました。
医者って、結構無神経な人格者、多いです。(注・私が遭遇した統計による)
病気や怪我の時、安心して任せたいと、患者なら誰でも思うはず。
なのに、余計に不安にさせたりするんですよね。何のために病院行くと思ってるんだ!
ともあれ、お大事に。

投稿: 榊 | 2007年5月11日 (金) 09時32分

「患者が主治医」「甘さ控えめでも他の要素が超高カロリー」本当にそのとおりです。シュガ俺でもケーキは悪の根源みたいに栄養士さんが言っていました(あのシーンは面白かったです)。真摯に受け止めて努力していきたいと思います。

ネットは一時的に血糖値から逃避できるような錯覚に陥っていましたが、糖尿病患者という現実からは逃れられないのだなと痛感しました「インファナル・アフェア(無間地獄)」の気分です。

「誰に言うとんのや、ボケ(アホ)」
ぜひ使ってみて下さい。
芸人さんとかはよく使っていますが、フツーの人はあまり使わないかもしれません(多分)大阪に住んでいる私が「誰に口きいとんのや」を読んでびっくりしてひいたぐらいですから(とくに東京の人が使うと関西弁をとおりこして、・・の人みたいです)。

投稿: まり | 2007年5月12日 (土) 20時06分

> 榊さん
お医者さんは、タクシーの運転手さんと同じで、当たり外れが大きいように僕にも思えます(最近、「外れ」の運転手さんはだいぶ減ったような気もしますが)。ただ、美容院にかかるときはこっちがただでさえ心細い気持ちになっていることが多いので、ちょっと無神経なことを言われると普通よりもさらにコタえてしまうんですよね。
「啖呵を切る」というのは、死ぬまでに1度やってみたいことのひとつです。想像の中ではほぼ毎日やってますけど(笑)。

> まりさん
ああ、「ボケ」を最後に添えるとさらに勢いがつき、語調も整えられていいですね! でもやっぱり関西でも普通の人はあまり使わないんですか。なんか、関西の人はしょっちゅう「アホ」「ボケ」とツッコミあっているという印象があったのですが(笑)。
無間地獄……。しかしまあ、それを言うなら、糖尿病ではなくたってこの世は何%かは地獄だと思いますし、おたがいしんどいですが頑張りましょう!

投稿: 平山瑞穂 | 2007年5月12日 (土) 23時21分

関西弁については関西人ではないので私も良く分かりません(平山さんの方が言葉には詳しいと思います)だから上のコメントも間違っているかもしれない事を付け加えておきます。

投稿: まり | 2007年5月12日 (土) 23時27分

わかりました。
しかし、僕も方言の運用についてまではさすがにわかりませんよ(笑)。作中に関西弁を喋る人を登場させたいときもあるんですが、「ナンチャッテ関西弁」になってしまうとみっともないので、見合わせています。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年5月13日 (日) 02時29分

上のコメントはすれ違いです。
前のコメントの続きでコメントを書いていて送信したら平山さんからのお返事が先に来ていたので困ってしまいました。
コメントを書く時は何回も文章を書き直しているので気がつくと30分ぐらいたっている事もしょっちゅうです。
だから送信した時に、その間に他の方のコメントが入っていてびっくりする事がよくあります。

平山さんは5分程度?で全部の方にお返事を書いておられるので毎回感心してしまいます(それ以上の原稿を書いておられるのですから当たり前なのかもしれませんが)私は5分とかではとても書けません。

いつか大阪にもぜひサイン会にいらして下さいね!
大阪のオバチャンは好奇心丸出しなので(面白いですよ)知らない人でもサイン会とかやっていたら「ほら、ならぼか」とかいって長蛇の列になりそうです。平山さんも凄く楽しめると思います。ぜひ来てくださいね!
私も他人のフリして並ばせていただきます(笑)。

投稿: まり | 2007年5月14日 (月) 21時13分

いや〜、僕も実際には5分では済んでないですよ。たいていは、何人かの方へのレスをいっぺんに書くので、たまたまその間に新しいコメントが書き込まれると、それに対するレスもついでに書いてしまうため、タイミングによっては上記のようなことが起きてしまうわけです。

それにしても、大阪ってそうなんですね。サイン会なんて、今やっても絶対いたたまれない状況になってしまうだろうと思っていたんですが、大阪だったら大丈夫かも(笑)。と言っても、サイン会というのはどこかから引きがなければ開催できるものではないんですけど……。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年5月14日 (月) 22時16分

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