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2007年6月 6日 (水)

脳の一部をシェア?

 昨夜は帰りが遅くて言い足りなかったことを補足。漫画家ABJさんが起こしてきたキャラクターのラフがいかに素晴らしかったか、という話だ。

「IKKI」でのコラボの連載は1年間の予定で、1話分を前編・後編に分け、2ヶ月にわたって掲載するのを計6話、という構想なのだが、現時点で存在しているのは、第1話の原稿と、全体のおおまかなプロットだけだ。それに目を通した上で、ABJさんは主要な登場人物についてのイメージ画を用意してきてくれたわけだが、実はその主要登場人物たちには、モデルが実在する。

 モデル、と言い切ってしまうのは語弊がある。どちらかというと、「その人を勝手にキャスティングしながらキャラクター造型をした」と言った方が近い。くだんの登場人物が取る行動や考え方などが本人とイコール、ということではなく、その人がその役を演じたらきっとこんな風にふるまい、こんな風にしゃべるだろうということを想像しながら書く、という感じだ。実は、僕が小説の中で描写する人物たちは、たいていその要領で生み出され、描かれている。今回もそうだ、というだけの話だ。そういう意味での「モデル」ということだ。

 しかしそれはあくまで、僕の頭の中だけの話で、当然のことながら、ABJさんは、僕が勝手に役を振った個々の実在する人物たちと面識があるわけではない。ところが、そのABJさんの描くキャラクターたちが、驚くほど似ているのである、「モデル」たちと。

 顔立ちなどを直接比べれば、それほど似ているわけではない。しかし、雰囲気やたたずまいなどが、「モデル」人物その人であるとしか思えないケースが多々あるのだ。その人の持っている「その人性」、その人をその人たらしめている印象上の要素が一度抽象化された上で、ABJさんの筆力によって再構成されている感じ、と言えばいいだろうか。顔形が変わっていてもなお、「モデル」人物を知っている者なら、「ああ、これは彼(彼女)だ」と即座に認識できる。そういう意味合いで、それらは「モデル」と酷似しているのだ。思わず、「もしかして、本人たちに会った?」と真顔で訊きたくなってしまうほどだ。

 中には、ABJさんの手元にわたっている原稿やプロットの中では、ほとんど外面的な描写をしていない人物もいる。いったいどんな魔法を使ってこの人は、僕が頭に思い描いていたその「イメージ」を掬い取り、ヴィジュアライズしえたのだろう、と空恐ろしくさえなるのだ。今日、そのラフの一部を見た、「モデル」を直接知っている人の使った表現を借りるなら、「実物(元ネタ)を知らないにもかかわらず、完璧にデフォルメされている」。まさにそれだ。

 ああ、これがプロの仕事なんだな、という畏敬の念を覚えると同時に、もしかして、この人と僕は、脳の一部をナチュラルにシェアしているのではないか、だから僕が思い描いた「イメージ」が、テレパシーのようにこの人の脳にも伝わるのではないか、というやくたいもない妄想が一瞬、頭をかすめてしまった(そしてその手の「妄想癖」という点においても、ABJさんと僕はどうやらよく似ているらしい)。

 それはそれとして、明日6月7日には、先日受けた「ココセレブ」からのインタビュー記事がアップされる予定だ。午前11時以降、このブログの右サイドバーにある「ココセレブ」へのリンクから、「ココセレブSpecialインタビュー」のページに飛んでみていただきたい。

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コメント

おはようございまーす。
なんだか、読んでいて、すごく楽しみ感がアップしてます!
漫画家の先生が登場人物の雰囲気を正確につかめたのって
やはり、平山さんの表現の仕方が上手だからだって思います。
プロの作家さんに上手っていうのも、すごく失礼ってわかってるいるんですが、(汗
たぶん、漫画家の先生も平山さんがしっかり説明してくれたから
思い浮べやすかったんだろうなぁと思ってます。
ココセレブのインタビューすごくたのしみ!!
実は、昨日、バイトでものすごくクレーマーなお客さん(クレーマーの常習犯)に
八つ当たりとしか思えないクレームで突然怒鳴られ
泣きたくなってました。っていうかその場で泣くのは悔しかったので
家に帰ってから泣きました。だから、ちょっと気持ちが落ち込んでいましたが
平山さんの日記を読んで、楽しみが増えて嬉しくなりました。
今日もがんばろ。。。平山さんもファィトです!(^-^)

投稿: 果歩 | 2007年6月 7日 (木) 04時35分

ああ、たしかに、自分の文章表現が、ちゃんとこの人物の「感じ」を伝え得ているんだな、と思って安心したという面もあるかもしれません。僕はわりと、登場人物がどういう種類の人間なのかというのを、あの手この手でありありと読者の方々にわかってもらおうと苦心するタイプではありますからね。それでもやはり、プロの漫画家さんの手慣れた線でそれが具現化すると、感激するものなんですよ〜。

さて、そのクレーマーな人。常習犯ってことは、たまたまじゃなくて、クレームつけるためにアラ探ししてるってことなんでしょうね、たぶん。ムカつく以前に、よくそんな暇があるなとあきれ返ってしまいます。つうか、そんなことして何が楽しいのかという。そんな人から怒鳴られたって気にすることありませんよ、と言ってもやはり、怒鳴りつけられればそれ自体が原因で傷ついてしまうのが人間というもので……。僕のささやかな活動が、少しでも気分を盛り返すのに役立ったのならせめてもの慰めです。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年6月 7日 (木) 19時27分

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