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2007年6月20日 (水)

多面的人間

 理想的には、午前7時くらいには起床して、ゆっくりと身繕いをして、余裕を持って食事も済ませ、少しは猫と戯れて、妻と冗談を言い交わしてから、出勤したいと思う。理想的には、だ。

 それがかなわないことがわかっているので、ではせめて、ということで、目覚まし時計は7時15分にセットしている。幸い職場はけっこう近いので、8時25分に家を出れば始業時間に遅れずに出社できる。目覚まし通りに起きていれば、家を出るまでに1時間以上あるから、まあ余裕だ。しかし、そのとおりになることは稀である。

 いろいろあって、たいていは、8時10分前後に朝食となる。けっこうギリギリだ。そしてその時間帯、テレビはすでにワイドショーモードに入っている。あれがなんだか、僕はイライラするのだ。人の不幸を、そんなに詳しく知りたくない。妻が僕よりひと足先に食事を済ませ、大急ぎで化粧をして戻ってきて、「まだこの話題?」と呆れたように言う。まったく同感だ。悲劇に見舞われた人たちのことは、心底気の毒だと思う。しかし、何十分もかけてその気の毒さを味わい尽くさなければならない理由が、正直なところ、理解できない。

 もうちょっと早く食卓につけば、きっとNHKあたりが、さくさくと、淡々と、フラットに、世の中で何が起こっているのか、事実だけを均等に報じてくれているのだろう。僕が望むのはそれだ。個々の報道に何を感じ、何を思い、それに対してどの程度の重みづけをするかは、受け手である僕が決めるべきことだ。あらかじめ重みづけされたものを押しつけられるのは、僕の本意とすることじゃない。しかしそんなえらそうなことを言いたいなら、たぶん僕は、あと10分、いや、せめて15分、早く起きるべきなのだろう。

 さて、昨日、見本誌について触れた小学館の文芸誌「きらら」7月号だが、今日、配本になったはずだ。そして僕と2名の書店員さんとの「鼎談」記事は、WEB版で全文、読むことができる。

   WEBきらら

 ちょっと下にスクロールすると、その記事へのリンクに行き着けるので、ご興味のある方はどしどしクリックしていただきたい。どしどしクリック。「どしどし」ってよく考えると変な言葉だ。

 ちなみに、見本誌で僕の写真を見たある飲み友達いわく、「これはよく写ってるじゃないですか」。

「うん、これは、自分でも等身大と思える感じだね」
「……」
「言い直そう、これは、“こう見られたい自分”になってるよ」
「おすまししてますよね」
「そりゃあね。酔っぱらってデヘデヘ笑ってる姿とは違うけどね」
「それが私の知ってる平山さんなんだけど」
「そんな姿、読者さんには見せられませんね」
「酔っぱらって看板蹴ったりしてる姿はね」
「……」

 人間とは、ことほどさように多面性を抱えた生き物なのである。

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コメント

インタビュー拝読しました。なかなかよかったです!
ところで一ヶ所「小姑」です。
「女性同士のつきあいには、証拠と榛菜の関係みたいな~」のくだりは「祥子」ですよ~。誤字の話をしていたらシンクロニシティ!

投稿: ダレカ | 2007年6月21日 (木) 00時55分

ほんとだ! と思って今、雑誌版の方を見てみたら、そっちはちゃんと「祥子」になっていました。おそらく、校正前バージョンのテキストデータがWEBに流れていたのでしょう。まさに、先日のココセレブインタビューで僕が言った、「データのやり取りだとチェックが甘くなる」というやつの好例ですね。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年6月21日 (木) 01時03分

おはようございまーす。
インタビュー、すごく興味深くよみました。
わたしの知らない平山さんの考えの一部が
記されていて、改めて平山さんが作家として
これまで歩んできた人生について知ることができてうれしかったです。

写真。。。好き。(^-^)

やはり、ミーハーだなぁと反省気味ですが。

『ハピネス』がますます楽しみになりました!!

PS 酔って看板をけっている平山さんもきっと私は好きだと思います。(笑

今日もお仕事、ファィトです!

投稿: 果歩 | 2007年6月21日 (木) 04時05分

お久しぶりです。時々ブログは拝見しているんですが。
ワイドショーが好きだと公言する人は少ないでしょうが、好きな人、あるいはとりあえず見ている人は多いはずです。ワイドショーで取り上げられた話題の関連図書は必ず反応がありますから。なので、仕事柄私もできるだけチェックします。視聴率のいい順に。他にも週刊ブックレビューや王様のブランチ、情熱大陸、徹子の部屋等。このあたりは侮れません。もちろん各書評も。
ようするにメディアというものは恐ろしいのです。本屋大賞にしても、メディアが取り上げてくれるようになってから、売り上げが大きく変わりましたから。
今、平山さんの「忘れないと誓ったぼくがいた」を平積みで仕掛け販売しています。少しでも、お役に立てればと思っています。新刊も楽しみに待っています。もちろん、ガーンと積みますよ。ではまた。

投稿: 佐々木 | 2007年6月21日 (木) 10時19分

ああー、わかります。朝のこともワイドショーのことも!
朝はもっとのんびりとするのが理想なのに、もっと早く起きればいいだけなのに、現実はばたばたしてしまうこと。同じです(笑)。私は、今日も同居人である彼氏に「洋服は前の日に用意しておけよ」と小言を言われ、気がついたら時計をはめることを忘れて家を出てしまいました。
そして、ワイドショーの執拗さというか、しつこさというか・・・同じことを延々と流したり、憶測でものを言ったり、言いたい放題だったり。たまに観てもうんざりして消すことが多いです。私がもし専業主婦だったとしても、たぶん観ないだろうなぁー。

ところで、WEBきらら、読みました!
一冊一冊紹介されているのいいですし、本屋さんとの対談(鼎談)というのも新鮮でいいですね。
『ラスマン』が受賞しなかったら、平山さんとこうしてコメントを書きあうこともなかったんですねぇ。諦めかけて情熱を失ってたとはいえ、13年間がんばり続けることはやっぱり誰にもできるもんではありませんよ!
私だったら、2,3回落ちたら「ああ、私は才能がないんだわ」とあきらめちゃいそうです!(私と比較することが間違い)

きっともっとたくさんお話されたんですよね。まとまってて読みやすいですが、もっといろんな話を聞いてみたい気になりました。

投稿: | 2007年6月21日 (木) 16時54分

> 果歩さん
写真、褒めてくださってありがとうございます。いやー……照れます……。ネットだと、雑誌などで紙に印刷されるより鮮明なので、なんだかより逃げ場がない感じがしてこそばゆいですね。
しかし、実際看板蹴ってる姿見たらかなり引くと思いますよ(笑)。お見せする機会が(今のところ)なくてよかったです。

> 佐々木さん
その節は楽しい対談、というか鼎談(←しつこい)をありがとうございました。またなんらかの機会にお会いできればいいなと思っております。
視聴率の高いテレビ番組はたしかに、「侮れない」というより、ある意味熱烈な片思いの相手ですよ。「王様のブランチ」で紹介された本とか、もう、まちがいなくバカ売れしますよね? 遠くない将来、そんな身分になれたらいいなぁとは思っているんですが、著者本人がいくら「思った」からと言ってこればかりはどうしようもないですからねぇ。
「ワスチカ」、フィーチャーしてくれてるんですね! ありがとうございます。そうそう、書店さんの「仕掛け」もかなり大きな要因になりますからね。これからも、そして新刊も、よろしくお願いいたします。

> 香さん
ゆったりと過ごす優雅な朝、それは永遠の憧れです。睡眠時間削ればできなくはないですけどね、これ以上削れる余地は1分もないような気が……(笑)。
ワイドショーもですね、話題が「不幸」系になると、ちょっとげんなりしてしまうのです。「憶測」もたしかにはびこってますね。「そんなこと当事者じゃなきゃわかんないじゃん」とか、「なんでも批判すりゃいいってもんじゃないでしょ」とか……って言い出すとキリがないのでやめておきましょう。
ちなみに13年間頑張れたのはですね、もしかしたら、ちょっと「デンパ」だったからかもしれませんよ? 「や、自分、作家になること決まってるし」みたいな。紙一重ってやつですよ(笑)。

投稿: 平山瑞穂 | 2007年6月21日 (木) 19時35分

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