不気味さの質が同じ
藤永茂氏の新訳によるコンラッドの『闇の奥』を読んだ。実はこれに先立つこと数ヶ月の時点で、同じ藤永氏の論考『「闇の奥」の奥 コンラッド・植民地主義・アフリカの重荷』というのを読んだのだが、そのとき、小説本体の方も藤永氏の訳ですでに出版されていることを知って、いわば遡る形で読んでみたわけだ。
これまでは、定訳的に岩波文庫から出ている中野好夫氏による訳しか読んだことがなかった。そして『闇の奥』と言えば、フランシス・コッポラ監督の映画『地獄の黙示録』が下敷きにした話として有名で、そもそもは僕もそれを入口としてコンラッドの小説世界に触れたわけだが、旧訳はなんだかひどく読みづらい印象で、正直なところ、内容をあまり把握できなかった記憶がある。
今回は、非常にすんなりと頭に入ってきた。それはもちろん、小説に先んじて副読本的な論考の方を読んでいたからという事情にも負うところがあるだろうが、「ああ、こういう話だったのか」と初めて腑に落ちたというのが正直なところだ。
藤永氏の論考は、コンゴ河流域を舞台にした『闇の奥』や、またそれをベースとして舞台をベトナム〜カンボジアに移した『地獄の黙示録』が、いかに西欧中心の植民地主義的な偏った思想に彩られているかということを検証した労作で、それ自体非常に興味深く読ませていただいたが、それはそれとして今回、『闇の奥』を読み返していて、あらためて気づいた点がいくつかある。
『地獄の黙示録』には、当然のことながら、『闇の奥』に対応する登場人物や対応する場面がいくつも存在するわけだが、『闇の奥』のわりと最初の方に出てくる短い場面が、今回、初めて僕の注意を引いた。
フランスの汽船でコンゴ河の河口を目指しているとき、主人公マーロウたちの一行は、沖合に停泊したフランスの軍艦が、小屋ひとつ見当たらない森林に向かって八インチ砲を撃ちまくっているところに出くわす。船客の1人が、どこかここからは見えないところに「敵の陣営」があるのだと説明するのだが、「はじめの感じ(つまり、その軍艦が、何もないところにむやみやたらと砲弾を撃ち込んでいるという印象)は消えなかった」とマーロウは言うのだ。
これはあれじゃないか。『地獄の黙示録』の中でも僕が大好きな場面のひとつである、あれじゃないか。「米軍最後の拠点」であるドラン橋に、ウィラード大尉たちのボートがさしかかる夜のあの場面。情報収集のため岸に上がったウィラードが、コンクリート壕だかの中を歩いて「指揮官は誰だ」と呼びかけつづけるが、兵士たちからは「俺だ」「あんただろ?」など、ろくな返事が返ってこない。ただ、暗闇の中にやみくもに機関銃の弾丸を撃ち込みつづけるだけの兵士。最後に会った兵士に、ウィラードが慎重に訊ねる。
"Do you know who's in command here?"(ここの指揮官が誰だか知ってるか)
"......Yeah"(ああ)
この、兵士の答えがいい。一拍置いて、正気を保っているふりをしながら余裕の表情で答えるあの黒人兵士。この場面が、僕はなぜだかゾクゾクするほど好きなのだ。
先に挙げた『闇の奥』の軍艦の一節と、このドラン橋の場面は、間違いなく対応していると思う。中野訳のときにはまったく見落とすか読み流していたが、この2つの場面が帯びているなんともいえない不気味さの質は同じだ。もっとも、軍艦の場面は、1ページにも満たない、きわめて短い場面だ。そこを読み飛ばさずにきっちり反応して脚本に取り込んだコッポラの慧眼に、今さらながら喝采を贈りたい。
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» 田中聖女遊びはヒドィ!なんでそこまでヒドィのか?連発の理由は・・・。【密会動画】 [田中聖女遊びはヒドィ!なんでそこまでヒドィのか?連発の理由は・・・。【密会動画】]
それにしても、次から次へと出てくる目撃情報。こんなにも目撃されるアイドルも珍しいのではないでしょうか。
ここまで、女性との遊びが多発してくると“アイドルとしての自覚がない”といわれても、仕方ないですね。 [続きを読む]
受信: 2007年7月10日 (火) 12時20分





コメント
おはようございまーす。(^-^)/
このどちらの作品もタイトルは聞いたことが
あるんですが、読んだことないんです。
なんか、おもしろそう。。。
今日はバイトが休みで図書館に行く予定なので
探してこようって思ってます。でも、平山さんみたいに
うまく理解できないかも。(汗
不気味なかんじというと、おくればせながら
この前、テレビで『シックスセンス』が放送されていたのをみて
最後に、すごく『ぞくーーー』としました。(汗
おもしろかったけれど、ホラーとかが苦手なのにがんばってみて、最後の最後で心理的にこわいーーーみたいな。。。
でも、友達にいったら、『いまさらだねー』といわれました。(汗
投稿 果歩 | 2007年7月10日 (火) 05時26分
『シックスセンス』はたしかに、途中よりはオチで「やられたー!」と思うような作りになってますよね。でもあれは、僕にとっては「こわい」というより「せつない」というか「悲しい」という感じでした。果歩さん、きっとほんとにホラーとか苦手なんでしょうね。いや、僕も決して得意ではないんですが(笑)。
「こわい」上に「不気味」というと、なんといっても「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」じゃないでしょうか。あれは死ぬほど怖かった……。
投稿 平山瑞穂 | 2007年7月10日 (火) 20時11分