他人の靴
たとえば、居酒屋で会計を済ませて店を出るとき、従業員が下駄箱から出してくれた靴が自分の靴ではない気がして、でもサイズはまるでシンデレラのガラスの靴のようにぴったりだし、自分のものでないような気がするのは自分が酔っ払っているからではないかと思い、そのまま履いて出て行ったとする。でもエレベーターで1階に降りるまでの間に、やっぱりそれが自分の靴ではないことを確信して、慌てて店の入り口まで取って返したとする(実話)。
取り替えた靴は、間違えて履いてしまった他人の靴に比べると、少しばかりサイズが自分に合っていない。それでも僕は、そうそうこれだよ、これが自分の靴だよ、と思って安心するのだ。結局のところ、僕には僕の靴しか履くことはできないのである。
で、この話になにか寓意があるのかって? さあ……。
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