船橋での熟練
先日、さる知人の手引きで、船橋駅前のときわ書房本店さんにお邪魔し、カリスマ書店員として名高い宇田川拓也さんに初めてお会いした。宇田川さんは、あいにくお風邪を召しておられてマスク姿だったが、風評から想像していた以上に気さくな方で、船橋という、初めて足を踏み入れるのに近い未知の土地に来て心細くなっている猫的性格の僕はだいぶ安心した。
少し前から宇田川さんは、『ラス・マンチャス通信』の文庫版を平積みで大展開するなど、僕をプッシュしてくださっていたのだが、今回はサインを頼まれ、ぜひにと事務所に赴いたところ、長テーブルに山と積まれた自分の本を見て唖然とした。ラスマン文庫版が約50冊、ワスチカ文庫版が20冊、それ以外にも『シュガーな俺』から『桃の向こう』までの単行本が各数冊ずつ。これに全部サインするというのか。
サインすること自体はもちろんやぶさかでないのだが、サイン本にするということはすなわち、返本がきかなくなるということでもある。売れ残っても、版元に戻せない。ほんとにいいのかなー、と最初のうちはためらいつつサインしていったのだが、流れ作業としてやっているうちに意識が麻痺してきて、すべてにサインし終えたときにはむしろ、「え、もう終わり? せっかく熟練してきたところなのに」と名残惜しくさえ感じた。
で、現在は、画像のような形で僕の「サイン本フェア」を展開してくださっているとのこと。
しかし、これだけの量がサバけるのかどうかは、やはり気が揉まれるところである。そこはときわ書房さんのすごい販売力に期待するとしても、皆様、お近くにお立ち寄りの際は、ぜひお買い上げいただきたく。
それにしても、平日午後6時台の総武線快速・千葉行は、死ぬほど混んでいた。本気で死ぬかと思った。
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