« 忘れないと誓ったぼくはいなかった | トップページ | 8年前の意見 »

2009年1月17日 (土)

ワイエスの訃報に思う

 アンドリュー・ワイエスが亡くなった。つい先月、展覧会を観に行ったばかりなので、新聞で訃報を見たときに一瞬、目を疑った。本当のことを言うと、そのワイエス展で年譜を見て初めて、まだ存命中であることを知って意外に思っていたくらいだったのだが、91歳といえば実際、かなりの長命だろう。

 実は先月、ワイエス展に行ったのは、「なんとなく気が向いて」ではなく、かなり強い意識を抱いてのことだった。去年の秋くらいから、多忙な中でもできるだけ「趣味に近い領域のなにかに触れる」べく、ポータブルDVDプレイヤーを買ってきてベッドで寝ながら映画を観たりという工夫をしはじめていることはすでに述べたが、昔はちょくちょく足を運んでいた「美術展」というものにも、ここ数年、ほとんどまったく触れていないことに気づき、年末の忙しい時期にまさに「万障繰り合わせて」予定を組んだのがワイエス展だったのだ。

 その直後、当のワイエス本人が亡くなったということに、なにか不思議な因縁を感じてならない。観たいものは、いつでも都合よくそこに留まりつづけているわけではないのだ、ということを告げられたような気分になる。「そのうち」とか、「暇ができたら」というのではダメなのだ。「暇ができた」ときには、それはすでに手の届かないどこかに去ってしまっているのかもしれないのだから。

|

« 忘れないと誓ったぼくはいなかった | トップページ | 8年前の意見 »