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2009年1月26日 (月)

微妙な間柄における微妙な心配

 昼どきにときどき通っていたそば屋に、正月明けに行ってみたら閉まっているので、今年はまだ営業していないのかと思い、数日置いてからもう一度行ってみたら、まだ閉まっている。不審に思って入口近くまで寄ってみたところ、「店主体調不良のため、しばらくお休みさせていただきます」とある。

 店は、あきらかに脱サラと思われる、しかしまだそれほどの歳とも思えないおじさんが1人で切り盛りしていた。どうしたんだろうとほのかに案じながらしばらく別の店を使っていたのだが、そろそろ復活しているだろうかと思って今日、覗いてみたら、店はあいかわらずの状態だったが、よく見ると張り紙の内容が変わっていた。

「店主体調不良のため、閉店させていただきます。長らくのご愛顧ありがとうございました。」

 いったい、おじさんの身に何があったのか。注文をめぐるやりとり以外には口をきいたことなど一度もない間柄だが、ちょくちょく来ていた僕のことはむこうも顔で認識していただろうし、まったくの他人とも思えず、なんだかとても気になってしまう。

 いずれ営業が再開されるなら、そのときに「もう大丈夫なんですか?」とか「たいへんでしたね」などのひとことも言えようものだが、閉店とあっては、これっきり、彼とはおそらく一生、顔を合わせることもないのだ。それをダイレクトにさびしいと感じるほど僕は人好きでもないのだが、「あの顔をしたあのおじさんがどこかでもしかしたらとてもたいへんな思いをしているのだ」と思うと、なんともいえず据わりの悪い気持ちになってしまうのである。

 いっそ、「やっぱそば屋なんて俺は向いてねえや!」とばかりに職場放棄して家でふて寝しているだけ、とかいうオチだったらいいのだが。たしかに、あまりそば屋に向いているタイプには思えなかったので。

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