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2009年2月11日 (水)

気づきませんで

1993_gunzo

 古いつきあいの友人が、大昔に僕が読んでもらった小説の習作を最近見つけて、読み返してみたという。ワープロで打って、B5の紙に縦書き印字してクリップで止めたものだ。あらためて読んでみるとなかなかよかった、むしろ今の平山さんよりよけいな説明がなくていいくらいだった、というので、自分でも引き出しから引っ張り出して読んでみた。17年前に書いたものだ。

 たしかに、悪くない。20代前半の若僧である自分が書いたものなんて恥ずかしくて読めないのではないかと思っていたが、これだけ時間が経ってしまうと、もうそういう気恥ずかしさもすっかり揮発してしまうものらしく、現在の自分の目で客観的に見て「悪くない」と思った。

 そういえばこの作品は、なにかの新人賞に応募して予選を通過していたのではなかったか。そう思って今度は、当時、予選通過者として名前が載った文芸誌の類いを引っ張り出してみたところ、1993年度の「第36回群像新人文学賞」で1次予選を通過していた。そのとき、僕は気づいた。なんと、予選通過作品一覧の見開きページの反対側に、「阿部和重」の名があるではないか。

 これ、あの阿部和重さんかな。十中八九、そうだろうな。

 阿部さんはこの翌年、『アメリカの夜』でみごと「群像新人文学賞」を受賞し、その後も2005年の芥川賞受賞まで、順調に各賞を受賞している。対する僕は、1993年時点では「1次予選止まり」ということで阿部さんと横並びだったのに、デビューするまでさらに11年を要している。彼と僕が、同じ1968年生まれであることも考え合わせ、ちょっとだけさみしい気持ちになった。

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