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2009年10月12日 (月)

先斗町での1升

 10日、「京フェス」の本会企画に出演してきた。午後3時半、出番の20分前に会場入りすると、早川書房の塩澤さんにロビーで声をかけられ、遠藤徹さんを紹介された。『姉飼』などの印象が強くて、いったいどんな人なんだろうと恐れ半分期待半分だったが、ごくごくまっとうな、良識的な、そして穏和でやさしい感じの方だった(しかしそれは、『ラス・マンチャス通信』だけで僕を認識している人が僕本人と会ったときに感じるであろう肩すかし感と大差ないものかもしれない)。

 また、このイベントを主催する京都大学SF研究会のOBでもある大森望さんもゲストとして招かれていたので、去年8月に角川文庫に入った『ラス・マンチャス通信』の解説を書いてくださったお礼をやっと言うことができた(秋葉原通り魔事件の犯人の弟が発表した手記の件は、僕自身も知らなかったので衝撃的だった)。

 僕が出演した4コマ目は、早川書房の叢書「想像力の文学」を三者の座談会形式で語るというものだったが、実質、場数を踏んで慣れておられる塩澤さんが遠藤さんと僕の2人にインタビューする形に近く、塩澤さんの訥々とした味のある語り口それ自体がウケているという印象だった。それぞれが何を語ったかは、いずれ「SFマガジン」誌上で記事にしていただけるようなので、ここでは触れないでおく。

 本会企画はそこですべて終了だったので、その後、ゲストなどを中心に近くの居酒屋で宴が催された。僕は、仕事を終えて夕方以降京都に駆けつける妻と合流する予定だったので、最初の30分くらいしか顔を出せなかったのだが、その席で翻訳家の岸本佐知子さんと少しだけお話することができた。ニコルソン・ベイカーの訳書などで以前からすごい方だなと思っていたので、お会いできてよかったと思う。独特な雰囲気のある、たいへんきれいな方だった。

 ホテルで妻と合流してひと休みしてから、食事をしに出かけたのだが、2人とも忙しくてどこかの予約など取る暇もなかったので、それでも一応目星をつけておいた料理屋に行ってみたものの、予約で満席とのこと。しかたなく、先斗町を何度も行ったり来たりしながら、ようやくいい感じの店を見つけて入ることができた。選ぶのに時間をかけた甲斐はあって、なにもかもがおいしく、店の人の感じもいい、大当たりの店だった。

 ただ、おいしくて快適なあまり、妻と2人で「酔鯨」を推定1升空けるほどの勢いで飲んでしまったので、途中から記憶は縞状である。「京阪電車」と言うべきところを、ずっと間違えて自分が「阪急電車」と言いつづけていたことを、翌朝になって思い出して赤面した。しかし店の人はみなやさしくて、僕のその間違いを指摘することもなく「うんうん」と話を聞いてくれていた。

 翌日、ほぼお昼から夕方までの短い時間だったが、それなりに観光を楽しんできた。京都に行ったのは十数年ぶりだが、若い頃にはわからなかった「よさ」がいろいろあることに気づいた。これからはもう少しマメに訪れてみようと思った。

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