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2009年11月26日 (木)

中国語風のカッコいい挨拶

 なぜかさっきから頭の中で「アリエトウェイスター」という音がリピートされていて、なんだろうと少し考えていて思い出した。大学4年の就職活動中に赤坂見附駅前のラーメン屋で耳にした音だ。カウンターの内側で接客していた従業員が中国人らしき女性で、その彼女が客に向かってそう言っていたのだ。

 今でこそ、都市部のサービス業で中国系の人を見かけるのはごく普通のことになっているが、1990年代初頭のその頃は、まだけっこう珍しかったと記憶している。あきらかに、他の日本人従業員がややぞんざいに発音している「アリガトウゴザイマシタ」を耳で聞いたまま覚えたものと思しいその挨拶が妙にカッコよく聞こえて、家に帰ってからその音のローマ字表記を試みた覚えがある。

 たぶん彼女は、未知の日本語の挨拶を構成する音を、聞いたときの印象から、自分の母国語に存在する音に置き換えて覚えたのだろうと僕は推測した。まだ中国語を勉強する前のことなので、中国語にどんな音があってそれをどう表記するのかは知らなかったのだが、僕は彼女の「アリエトウェイスター」を仮に以下のように表記してみた。

  a rie te wei s ta

「ト」を"to"ではなくてあえて"te"と書いたのは、それが「ト」と「テ」の中間くらいの音に聞こえ、"to"とすることになんとなく抵抗を覚えたからだった。それを言うなら、「リ」を"ri"と表記することにも、自分としては満足を感じなかった。なぜなら彼女の発音する「リ」は、僕の耳には「リ」と「ジ」の中間くらいに聞こえたからだ。

 さて、今になって、記憶に残っているかぎりの「アリエトウェイスター」を、北京語のピンイン表記に当てはめてみると、たぶんこうなると思う。

  a rie de wei si ta

 "de"は、日本人には「ト(ド)」と「テ(デ)」の中間くらいに聞こえる音を表すピンインである。しかも、北京語で"r"と表記する音は、実際に"r"と"j"の中間くらいに聞こえる捲舌音である。なお、"si"は「シ」よりも(東京方言における、ほとんど無声化した)「ス」に近い音である。

 こうして見ると、当時の僕は、中国語についての知識も皆無だったわりに、ヒアリングにおいても文字化においても、かなりいいセンいっていたことがわかる。しかし言うまでもなく、そんなことがたとえば就職活動にあたってなにかの役に立ったわけではまったくない。どうせこんなことは、僕か有村ちさ(以下略)

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