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2010年3月 9日 (火)

もうひとつの金曜日

 先週の金曜日の夕方、たまに行くちょっといいベーカリーに寄って、ちょっといいパンをいくつか買って帰った。金曜日にその店に行ったのは初めてのことだ。なぜなら金曜日といえば、僕は十中八九どこかで飲んだくれているからだ。今回は、奇跡的になんの予定もなかった金曜日だったわけだ。そして金曜の夕方のその店は、とても混んでいるのだということを初めて知った。

 レジは8人態勢でテキパキと処理しているので進みは意外と早いのだが、それでもレジから続く長蛇の列がほとんど店の端から端あたりまで続いていて、最後尾につくとき、一瞬ためらったほどだった。客は9割強が女性で、20代後半から30代くらいをコアとする、ぱっと見、仕事帰りと見える人たちだった。

 彼女たちは、慌ただしい平日の朝にはなかなかできないこと、つまり、「ちょっといいパンをゆっくりつまみながら優雅に過ごす朝」といったものを土日の間に実現させたくて、こうして金曜の夜にパンを買うための行列に加わっているのだろうか。そう考えたら、ちょっとほほえましい気持ちになった。「ささやかな幸福」という感じだ。日ごろはつい無条件に「飲み」に充ててしまう金曜だが、たまにはこうしてふだん行かないところに立ち寄ってみるのもいいものだなと思った。

 ……と、なんだか新聞の投書欄みたいなことを書いているが、この僕にもそういう善良なほんわかした心がないわけではないのだ。

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