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2010年4月11日 (日)

エア推敲

 目下、僕は基本的に、幻冬舎で刊行することになっている書き下ろしのミステリーを執筆しているのだが、少し前は小学館から5月に出る長編『マザー』の初校ゲラと格闘していた。これは「きらら」に連載していた『理想の人』のタイトルを改めたものである。そして6月には『株式会社ハピネス計画』が小学館文庫に入るので、ここ数日はその文庫版のゲラを見ていた。

 その3つがごっちゃになったものを必死で推敲している夢を見て、夜中に目が覚めた。

「同時並行でいろいろな作品を書いたりしていると、内容がごっちゃになってしまったりしないのか」とときどき訊かれる。実際には、異なる作品を混同してしまうことはほとんどありえない。脳内の区分けがうまくできていて、どこをアクティブにするかを瞬時に切り替えるスイッチ機能が働いているようだ。しかし、眠っている間までそれが適正に制御できているわけではない。

 そうでなくても、「推敲している夢」というのはけっこう頻繁に見る。これでは文意がすんなり伝わらないからこういう形容をつけ加えよう。こうすると「僕は……した」「僕は……した」が続いてしまうから、「……した僕は、……した」にしよう。でもこうすると一文が長くなりすぎるから、二文に分けてこの説明を外に出そう。といった具合に。それは、日ごろ僕が覚醒した状態で行なっている「推敲」の作業とまったく同じである。いわば「エア推敲」だ。

 しかし目覚めた後に僕は、その作業が、そしてそこに投じた労力がすべて無駄であったことを悟り、泣きたい気持ちになるのである。今まさに僕は、その泣きたい気持ちを紛らわすために、こうしてブログを書いているのである。

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