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2010年10月 4日 (月)

『プロトコル』文庫版

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 2008年3月に単行本が刊行された僕の6作目の長編『プロトコル』が、このたび実業之日本社文庫の創刊ラインナップに組み入れていただけることになった。内田康夫さんや東野圭吾さんをはじめ錚々たる大御所の方々の中にちゃっかりこっそり紛れ込んだ感じで、緊張している上に少々居心地が悪い。明日10月5日配本なので、今週中くらいには各所に出回ることになるだろうか。

『プロトコル』は、8月に刊行された単行本『有村ちさとによると世界は』の元ネタというか、スピンオフ元(に相当するなにかいい表現はないのだろうか)である。本当は、この文庫が『有村〜』に先行するか、もしくはせめて『有村〜』と同時に出るのが望ましかったのかもしれないが、諸般の事情でそれがかなわなかった。

『有村ちさとによると世界は』(このタイトルは長いので、「ラスマン」「ワスチカ」みたいに「アリセカ」と略したいところだが、今ひとつ据わりが悪い)は、この『プロトコル』の続編というわけではない。両者はむしろ相補的な並行関係にあると言うべきだろう。

『有村〜』を読まれてなにがしかの消化不良を感じられた方にはぜひ本編である『プロトコル』を読んでいただきたいし、『プロトコル』を楽しめた方なら『有村〜』も必ず楽しんでいただけると思う。両方ぶっつづけで読んでいただけるとなお嬉しい。

 なお、文庫版『プロトコル』には、芥川賞作家である津村記久子さんがたいへん秀逸な解説を寄せてくださった。作家さんによる解説だけあって、なんというか、非常に味わい深い内容である。原稿段階で初めて読ませていただいたときは、そこはかとなく笑える視点の取り方・表現の妙に一人でウケまくっていた。こうして本になってもなお、読み返してニヤニヤしてしまうほどだ。

 表紙がなぜダービー風の絵柄になっているかは、読んでいただければわかると思う。『有村〜』の単行本の方も表紙に馬の頭が覗いているが、ほぼ同じ理由によるものである(もちろん、両者ともダービーの話ではなく、ちょっと滑稽なまでに論理的な女子・有村ちさとの話である)。

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