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2011年3月23日 (水)

なるべくか絶対か

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 昨日・今日あたりからようやく平常モードに戻ることができたようだ。東京23区内はたいした被害もなく、僕の家も本棚が2つ倒れた程度だったので、被災地の人々には申し訳ないのだが、それでも毎晩眠りは浅く、常に心がこわばっていたせいか、疲れがなかなか取れない。

 倒れた本棚のひとつはどうせ近々買い替えようと思っていた矢先だったので、落ちた本は部屋に積み上げたままだ。ただ、通販で注文した後継の本棚は、在庫があるにもかかわらず、4月にならないと配送してもらえないらしい。トラックが出払っているからだろうか。もっとも、野積みした本の山に囲まれた生活にもすっかり慣れてしまったのだが。

 画像の段ボールは本棚の上に置いてあったもので、これがパソコンのキーボードを直撃して、「2/ふ」のキーが吹っ飛んだ。さいわい本体の機能にはなんら障害が生じていないが、震災の2日前にふと不安になって書きかけの書き下ろしのバックアップをUSBメモリにコピーしておいたのは、虫の知らせだったのか。

 大きな地震が初めてだったクーは、最初の大きな揺れの際、恐怖のあまりおしっこをチビってしまい、その後もちょっと大きめの余震が来るたびに尻尾をタヌキ状にしていたが、今はこのとおりその恐怖もすっかり忘れてしまっているようだ。猫には常に「現在」しかない。

 仮に災害に見舞われたら、やはり自分自身も含めて人命を救うことが優先で、ペットの安全は二の次にせざるをえない。可能なかぎり助けたいが、どうしようもないときもあるだろう。妻とそんなことを話していたその晩、眠っている間にちょっと大きな揺れが来た。

 僕は自分の腋の下で丸くなっていたクーをとっさに抱き上げ、庇うような姿勢を取った。揺れはすぐにおさまったが、クーが怯えているようだったので、落ち着くまで膝の上で撫でてやっていた。闇に目が慣れてくると、クーが瞳孔の開ききったまっ黒なまん丸い目で僕をじっと見つめていることがわかった。

 そのとき僕は、「無理!」と心に叫んでいた。この猫を置いて逃げるなんて自分には絶対にできない。自分の命すらもかえりみず、この猫を助け出すために無謀なことをやらかしてしまうだろう。結果として、クーも救えず、自分も死んでしまうかもしれないとしても。

 妻は、きっともっと冷静だと思う。僕はいつかこの猫のためにとてつもなく危険な状態に自分を追い込むことになる気がしてならない。

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