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2011年4月 3日 (日)

A nuclear error, but I have no fear

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 2日の朝に、ロンドンから成田に戻ってきた。震災の影響でキャンセルが続出したと見えて、行きも帰りも飛行機・空港ともに驚くほどすいていた。そういえば、どこの国に行ってもたいていザラに見かけることになる日本人旅行者に今回はあまり遭遇しなかったが、それも偶然ではないのだろう。

 帰国するまでに、日本列島が自分の知っている状態のまま残っているかどうかという点について不安がなかったわけではないが、テレビでも新聞でも、日本のことはほとんど報道されていなかった。前半は、2009年にG20サミットへの抗議運動に参加して路上で警官に倒され死に至ったイアン・トムリンソン氏をめぐる審理かなにかが始まったという件で、後半は、5歳の少女が十代の少年に射殺されたという事件でもちきりだった。

 日本について目に触れたのは唯一、福島から発生したものと目される放射性ヨウ素がごく微量ながらオックスフォードで検出された、という小さな新聞記事のみだった。「官房長官」が the Chief Cabinet Secretary だということを初めて知った。そうか、「秘書」だったのか、枝野さんは。

 そんなわけで、日本は少なくとも出てきたとき以上に深刻な事態にはなっていないらしいという想定のもとに、可能なかぎり旅を楽しんでくることができた。

 英語の国だし、治安も悪くなく、またロンドン市内は地下鉄網が発達しているので、ほとんど困ったことにもならなかった。失敗といえば、木曜日、最後の晩にスムーズに食事にありつけなかったことくらいだ。この晩、ロンドンらしくパブで最後の夕食を楽しもうと考えた僕と妻は、条件を満たす店を探して2時間近くもさまよい歩くことになる。

 パブで食事を取るにあたって、事前に知っておくべきだったと思うことが少なくとも2点ある。まず第一に、木曜の夜は飲食店が軒並み混むということ。第二に、パブと呼ばれるような店では、調理が必要になるような料理は遅くとも午後9時ごろには給仕してくれなくなるということ。

 前者については、あとでガイドさんから聞いたところによると、休前日である金曜日はわりとみんなさっさと帰宅してしまって家族サービスに徹するので、職場の同僚や友人との社交は木曜日がピークになるのだという。おかげで当日は、いつ通りかかってもすいているように見えた店でさえ、店の中にも外にも客が溢れかえっていて、注文の番が回ってくるのを待ちきれずに断念してしまったほどだった。

 後者については、そもそもパブで食事を取ろうとすること自体が無謀だったのかもしれない。あれはあくまで、ビールを片手に友人とのおしゃべりに興じるための店なのだ。

 それでも僕たちは、最後にはなんとか、"Hot Foods Available until 10:00"と書いた黒板を掲げているパブ(そのこと自体が売りになるということだ)を見つけて、シェパードパイ(ひつじ肉のパイ)やらフィッシュ&チップスやらを注文することができた。げっそりしながら時計を見たら、9時47分だった。

 パブについて学んだことがもうひとつある。店の外にまで人が溢れているからといって、店内にスペースがないとはかぎらないということだ。

 彼らはとにかく、屋外が好きである。日本でも欧米の人々はテラス席が大好きで、日本人なら誰も好んでそこに座ろうとはしない真冬でも厭わず占拠している姿をよく見かけるが、どのパブでも店の外で立ち飲みをしている人を少なくとも10人ずつくらいは見かけた。しかし入ってみると、テーブル席は3つくらい空いていたりするのだ。あの感覚は、日本人である僕にはちょっとわからない。

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