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2011年7月25日 (月)

寝たきり中年

 ここひと月ほど、喉風邪にやられて寝たり起きたりの生活だった。たいした風邪ではなかったのだが、自己治癒力がすっかり枯渇してしまっていたために、異様に治りが悪かったということらしい。2月からは作家専業になっているが、それまでの6年間に及ぶ過酷な兼業生活のツケが今ごろ回ってきたといったところか。

 いっときは、唾を飲み込むたびに喉の奥と耳の奥に激痛が走るほど炎症がひどくなっていて、それではものも食べられないし夜も眠れないので、おのずと鎮痛剤を濫用することになる。それ以外にも抗生物質やステロイド剤など強い薬剤を使っていたので、喉の痛みがあらかたおさまる頃には、胃の粘膜がボロボロになっていた。

 そのせいで今度は何を食べようとしても胃が受けつけず、1回の食事にリンゴ半分とかキウイフルーツ1個が限界、という日々がしばらく続いた。しかも夜は、胃酸が出て粘膜を削り取っているのか、胸焼けがしてまともに横になっていることもできない。おかげで短期間に体重が5kgも減ってしまい、このままでは衰弱死してしまうのではと危ぶまれる状態だった。

 そこで今度は、胃の粘膜や消化機能を修復する方向で治療を進め、ようやく平常時の7がけ程度は食べられるようになったが、そのかわり、食後に異様にだるくなるという別の症状が現れた。

 ちょうど消化が始まるくらいのタイミングから、ひどいときには3時間くらいにわたって、全身の倦怠感に見舞われ、まともに体を起こしていることすらできない。食事のたびごとにそれでは、1日のうちまともに稼働している時間がほとんどない、ということになってしまう。

 どうやら、体力が落ちている上に胃の機能もまだ回復しきっていないので、消化が始まると、体の全エネルギーがそこに充当させられてしまう結果らしいと思われた。ひきつづき、胃の機能を取り戻すための薬を飲みながら、あとは体力が自然に回復するのを待つしかない、という状況になった。

 そしてこの1週間ほどで、食後の倦怠感もしだいに時間が短くなり、あれを食べたい、これを食べたいという具体的な食欲もようやく回復してきた。数日前には、突然揚げ物が恋しくなり、フライドポテトや鳥の唐揚げなどを貪り食った。2週間前には、揚げ物など想像しただけで吐き気に見舞われていたので、そのことを思えばたいした回復ぶりである。あとひと息というところだろう。

 そんな中、僕の短編が収録されたこんなアンソロジーが刊行されていたのだが、紹介する元気もなく時だけが過ぎていってしまった。

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 日本推理作家協会編集で毎年1回出されている「ザ・ベストミステリーズ」の2011年版である。去年の秋に「野性時代」に掲載された短篇『棺桶』が、このラインナップの中に選ばれた。錚々たる面々の中に混ぜていただき、恐れ多いかぎりだ。

 この『棺桶』という作品は、掲載時にはピンの短篇として発表され、事実短編としての完結性も持ってはいるが、同時に長編小説の第1章としての役割も持っている。長編小説の方は、今年の10月ごろには単行本として刊行される見通しである。デビュー以来7年にしてようやく辿り着けた、「ラスマン直系」と言っていい作品である。

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