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2011年8月18日 (木)

シュガーな犬

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 クーの左耳を光にかざすと、赤い斑点状のものがいくつか点在していることに気づいた。本人は特に痛がったり痒がったりしている様子もないが、なにか悪い病気だったらイヤだと思って、何年かぶりに動物病院に連れていった。

 診断としては「血管炎」だという。犬がかかるケースがほとんどで、猫にはめずらしいそうだが、血流が局所的に停滞して炎症を起こすという、要はしもやけみたいなものだ。命に別状はないが、放置しておくと血管の周囲の組織が壊死を起こし、最終的には耳がヨレヨレになったりボロボロになったりしてしまうという。

 クーの耳がボロボロになるなんてとても耐えられない。猫は耳がかわいいのだ(その他のパーツも全部かわいいけど)。

 原因は特定できないけれど、対症療法的には治すことが可能だということで、とりあえず、薬を飲ませて様子を見ることになった。

 それはそれとして、病院には午後3時に予約を取っていたので、早めに動こうと思ってタクシーで10分くらい前に乗りつけたら、早すぎたらしく、入口が閉まっていた。午後の診療自体が3時スタートだったのだ。しかたなく、入口脇のベンチに腰かけて待っていたら、見知らぬおじいさんがケージの中を覗き込んで、「猫ちゃんだね」と声をかけてきた。

 その人自身はペットを連れていないのだが、なにか注射針のようなものを大量に入れたビニール袋を手にしているし、僕と同じく、入口が開くのを待っているようである。やがてなんとなく世間話が始まって、彼の飼っている犬が糖尿病であるということがわかった。注射針はインスリンを打つのに使用したもので(※使用済みの針は医療用廃棄物として薬局や医療機関などに引き取ってもらう必要がある)、今日は薬だけ買いに来たのだという。

「実は僕、自分が糖尿で、インスリン打ってるんですよ」と言ったら、「でもお兄さんは3割負担で済むでしょ? 犬は保険がきかないからねー、年金じゃとても払い切れないよ。俺自身の医療費なんて月2千円かそこらなのに」。なんでも、与える食事もカロリーコントロールがなされたもので、それもまたべらぼうに高いのだそうだ。普通のドッグフードの10倍くらいはするらしい。

 やがて入口が開いたので僕たちは一緒に待合室に入ったのだが、診察室に呼ばれるのを待っている間に、おじいさんの方の用事は済んでいた。インスリンの使い捨て注射器2本(それで1ヶ月ももたないという)と箱入りの替え針を受け取って、2万なにがしの代金を支払っていた。

 その瞬間、横目でチラ見したところ、彼が受け取っている注射器は、僕が使っているものとまったく同じだった。「あ、同じなんだ」と思った。そして、犬の場合、仮に低血糖になったらどう対処するのだろう、と心配になった。まあそれより心配なのは、おじいさんの世帯の財政状況なのだが。

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