出ヤマト記、まもなく出倉庫
朝日新聞出版より4月6日発売の『出ヤマト記』、僕の14冊目の単行本である。「小説トリッパー」誌上に4回にわたって連載されたが、終章のみ書き下ろしで、この単行本が初出となる。
この物語の主要な舞台となるのはある架空の国だが、架空とはいってもかぎりなく実在の某国に近いどこかが描かれている。今まさに強盛大国への大門を開こうとしている某国である。「人工衛星」を打ち上げようとしている某国である。その某国に、半世紀も前に日本から渡っていった人々と、数奇な運命でそこにつながる現代の1人の少女をめぐって描かれた物語が、この小説である。
これまでに僕が出した本の中で、おそらく最も余白の多い装幀だ。かなり思い切ったデザインだが、この作品にかけた僕の意気込みを端的に伝えてくれる、緊迫感と不穏さと寂寥感に溢れる非常に美しい表紙だと思う。曼珠沙華に向かうこのアゲハチョウは、はかなく脆くて力強くて美しい。
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