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2012年11月16日 (金)

先生、シリツをして下さい

 先日アップされた「3 SPECIAL BOOKS」の1冊に、僕はつげ義春の『ねじ式』を挙げている。もはや古典となったこの不条理漫画については語りたいことが山ほどあり、それだけで1冊の書物になるほどなのだが、まあそれは置いておこう。

 それよりこの漫画は、1998年に、石井輝男監督によって実写で映画化されている。映画化の事実は当時から知っており、これは観ないわけにはいかないだろうと思っていたにもかかわらず、ささいな怠慢から観逃してしまっていた。それを、14年が過ぎた今、ようやくJ:COMオンデマンドで観ることができた。

 主演は浅野忠信で、つげ義春の自伝的な要素と作品世界が渾然一体となったような内容である。ソダーバーグ監督の映画『KAFKA/迷宮の悪夢』に近い手法と言っていいだろう。ただ、タイトルにもなっている『ねじ式』については、作品全体をほぼ原作に忠実に実写化した上で作中に取り入れており、それが映画のクライマックスにもなっている。

 この、『ねじ式』そのものを実写化した部分が、小学2年生以来の『ねじ式』ファン(※「3 SPECIAL BOOKS」でのコメント参照)にとっては、もうたまらなく楽しかった。

 原作はおそらく軽く200回くらいは読んでいて、ほとんどすべてのコマ、すべての台詞を暗記しているので、映画の方も、ほとんどすべてのコマ、すべての台詞をこれでもかとばかりに原作に忠実になぞっているのが観ているだにわかり、そのあまりの忠実さ(例:主人公が立ち寄った産婦人科の女医が、「わかりました ではお医者さんごっこをしてあげます」と言うときのポーズなど)に、何度も笑ってしまった。

 石井監督の、原作に対するリスペクトのほどが伝わってくる。このあまりの忠実さがかえって興ざめだったと言う人もいるかもしれないが、僕の意見はそれとは違う。いつかだれかが一度はこうしなければいけなかったのだ(もちろん、これとは違ったアプローチもあっていいとは思うけれど)。

 それにしても、J:COMオンデマンドは、観終わったあとに満足したかどうかを訊かれ、答えると回答者全体の「満足度」が星1つ〜5つで表示されるのだが、僕が「満足した」と答える映画に限って、全体の満足度は2か3と低く、満足しなかった場合はむしろ4か5のことが多いというのはどういうわけなのか。

 まあ、もううすうすわかっている。僕は世間のほとんどの人々、少なくとも多数派の人々とは意見が合わないのだ。僕の樹には誰もいないみたいだ。きっと丈が合わないんだろうってこと(ジョン・レノン)。

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