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2012年12月26日 (水)

その名前でいいんですか?

 なんとなく、「花より男子」のドラマの各国版比較をやっている。実は日本版そのものをちゃんと観ていないのだが、それでもいろいろと興味深い点はある。最も興味を惹いたのは、登場人物の名前の扱いである。

 韓国版「꽃보다 남자」では、たとえば「牧野つくし」に当たる人物は「クム・ジャンディ」、道明寺司は「ク・ジュンピョ」というように、一般的な韓国人の名前に完全に置き換えられていて、もとの名前との関連もこれといっては見出せない。

 しかし、台湾版「流星花園」は違う。原作の日本語名がほぼそのまま生かされているのだ。ただし、音は現地読みになっている。たとえば道明寺司は、「タオ・ミン・スー」と呼ばれている。これは、「道明寺」の部分をそのまま中国語読みしたものである。

 まあそれ自体は、中国語文化圏では普通のことだ。たとえば「石原慎太郎」は、漢字をそのまま用い、発音だけ中国語読みにして、「シー・ユエン・シェン・タイ・ラン」と読ませているはずだ(読みのカナ表記は近似的なもの)。

 原語が漢字表記でない場合は、「もしもその名前に日本人が漢字を充てるとしたら最もありそうな文字」を仮に充てて、それを現地読みする。たとえば「宮沢りえ」なら、「宮澤理恵」にして、「コン・ツォー・リー・ホイ」と読ませる。

 そのルールのもとで、牧野つくしの「つくし」がどう処理されているのか興味があったが、それは「杉菜」と訳した上で、「シャン・ツァイ」と読ませているようだ。なるほど。

 ただ、僕が不思議に思ったのは、それらが台湾人の(中国語ベースの)名前としてありえるものなのか、ということだ。「杉菜」はよしとしよう。しかし、「道明寺」は? そう思って今Wikipediaで調べてみたら、この「道明寺」(タオ・ミン・スー)はどうやら、「道明(姓)寺(名)」という構成を与えられているものであるようだ(「司」という本来の名は破棄されている)。

「花沢類」はそのまま「花澤類」(ホァツォー・レイ)、「美作あきら」には「美作」(メイツオ)という苗字だけが与えられているらしく思われる。そしてつくしの姓「牧野」は破棄され、かわりに「董」(トン)という姓が創設されている。

 こうして見てみると、中国語文化圏らしい名前としての体裁を保っているのは、牧野つくしに当たる人物、「董杉菜」(トン・シャンツァイ)のみであるような気がする。少なくとも、僕にはそう見える。「道明寺」(タオミン・スー)も、「花沢類」(ホァツォー・レイ)も「美作」(メイツオ)も、(姓2文字+名1文字という組み合わせだけ取っても)あまり、というかほぼありそうにない。

 しかし彼らは、あくまで現代の台湾を舞台に生きる台湾人として(たぶん)描かれているのである。そのあたりを、台湾の人たちがどう受け止めているのかが、僕はたいへん気になる。

 これは日本に置き換えるなら、たとえば「比都部辣度」(ピット・ブラッド)とか「除李安慈絵理菜」(ジョリ・アンジエリナ)みたいな名前の人があたりまえのようにたくさん出てくるドラマ、みたいなものなのではないのか。いいのかそれで。


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