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2013年3月10日 (日)

新刊『ルドヴィカがいる』

Ludwika_cov

 僕の17冊目の単行本、『ルドヴィカがいる』(小学館)が、今週なかば以降、書店に出回ることになる。「きらら」20113月号から20127月号まで17回にわたって連載した長編小説の単行本化である(連載時のタイトル『ルドヴィカ』を改題)。通常、このタイミングなら著者見本が手に入っているのだが、今回はたまたままにあわなかったので、書影を掲げておく。

 この本のバウンドプルーフ(校正段階のバージョンで簡易製本したもの。刊行前にプロモーション目的で全国書店などに配布する)を読んでくださった某書店員さんが、「これは映画とかじゃ表現できないですね」と(いい意味で)言ってくださっていたと聞いて、非常に嬉しかった。僕がこの作品で第一に心がけていたことは、まさに、「文字だけを媒体とする小説という表現手段をあえて選ぶことの必然性」とでもいったものだったからだ。 

 一方では、それはこの作品が映像化されにくいという弱点でもあるのかもしれないが、せっかく文字を使うなら、文字でしか表現できないことを取り上げてみたいではないか。

 物語の語り手が小説家になったのは、上記の試みを貫徹するためにほぼ必然的に導き出されたことだった。自分自身と同じ職業の人物を主人公にしたのは、(『シュガーな俺』という特殊な例外を除けば)初めてのことである。語り手・伊豆浜亮平と僕には、共通点が多い。実は異なる点もかなりたくさんあるのだが、ほぼ同一視されるであろうことは覚悟の上だ。覚悟の上ではあるが、これはあくまでフィクションなので、フィクションとして読んでいただきたい。

 特に、僕を担当されたことのある各出版社の編集者の皆さん、作中に登場する編集者に自分と似たところがあったとしても、その類似はあくまで偶然ですので、何とぞご了承いただきたく(笑)。

 なお、作中には、語り手である伊豆浜亮平が執筆中という設定になっている作中作が随所に挿入されている。『さなぎの宿』という作品である。これの原形は、実は僕自身がプロデビュー前に書いた同名の習作である。1997年、第40回群像新人文学賞の1次予選を通過し、そこで敗退した。それが16年後、一部とはいえこんな形で活字になって日の目を見ることができるとは、まことに感慨深いものがある。成仏せよ、『さなぎの宿』。

Sanagi_2

 

【追記】

 上記『ルドヴィカがいる』の刊行と掲載日が一致したのは単なる偶然だが、313日付の「日刊ゲンダイ」紙上、「愉快な病人」というコーナーに僕が登場する予定である。糖尿病がらみで取材を受け、インスリン治療にまつわる笑うに笑えない体験を語っている。ご興味のある方はぜひご一読を。

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